Googleアナリティクス4(GA4)でクロスドメイントラッキングを設定したものの、
「自然検索からAサイトに来て、BサイトでCVした場合って、チャネルは何になるの?」
と疑問に感じたことはありませんか?
この記事では、Google検索(自然検索)からAドメインへ流入し、クロスドメイン設定済みのBドメインでコンバージョンしたケースにおけるチャネル(デフォルトチャネルグループ)の挙動について、GA4の仕組みをもとにわかりやすく解説します。
結論:クロスドメイン設定が正しければ「Organic Search」で保持される
GA4では、クロスドメイン設定が正しく機能していれば、ユーザーがAドメインからBドメインへ遷移してもセッション情報が維持されます。
たとえば以下のような流れであっても
- Google自然検索でAサイト(
example-a.com
)にアクセス - AサイトからBサイト(
example-b.com
)へ遷移 - BサイトでCV(コンバージョン)
この場合、CVセッションのデフォルトチャネルは「Organic Search(自然検索)」となります。
クロスドメイン情報の仕組み:「_gl」パラメータに注意
GA4では、クロスドメイン間でセッション情報を共有するために、URLに_gl
というクエリパラメータが自動で付与されます。
例
https://example-b.com/?_gl=1*abc123...
この _gl
パラメータには、セッションの情報や流入元、ユーザー識別子などがエンコードされた形で格納されています。
重要な注意点
- _glパラメータを削除するツールに注意
→ 一部の外部ツール(URL短縮・リダイレクト・パラメータクレンザーなど)では、セキュリティや美観の観点からURLパラメータを削除するものがあります。
→ この場合、クロスドメイン計測が正常に動作せず、セッションが切断されてしまいます。 - サイト側でURLパラメータを使用しているケースにも注意
→ もしサイト内の機能(クエリパラメータによる表示切り替えや検索機能など)がある場合、_gl
の追加によって不具合が発生する可能性があります。
→ 例:パラメータに依存したページで「_gl」が想定外に入り、スクリプトが正常に動作しない etc.
対策
- URLに余分なパラメータを許容できる設計にする
- 開発側と連携し、URLハンドリングの仕様確認を行う
_gl
パラメータの存在を前提にした設計にしておく
チャネルが「Referral」や「Direct」になる場合は設定ミスを疑う
一方で、Bサイトでのコンバージョンが「Referral(参照元)」や「Direct(直接)」として記録される場合、以下のような設定ミスが原因となっている可能性があります。
よくある原因
- GTM(Googleタグマネージャー)で
linker
の自動リンク設定が漏れている gtag.js
でのlinker
設定が不完全- A→Bのリンクにリダイレクト処理があり、
_gl
が消える - BサイトでのGAタグ読み込みに遅延やエラーがある
- Aサイトが「参照元」として誤って計測されてしまう(リファラ除外未設定)
対処法
- GTM使用時:「タグ」>「設定」>「タグの設定」内で「自動リンクドメイン」を指定
gtag.js
使用時
gtag('config', 'G-XXXXXXX', {
linker: {
domains: ['example-b.com']
}
});
Aサイトを参照元除外リストに登録する
正しく動作しているかの確認方法
設定がうまくいっているかどうかは、以下の方法でチェック可能です。
DebugView(デバッグビュー)
GTMのプレビュー機能やGAデバッグ拡張機能を使って、AサイトからBサイトへ遷移した際に同一セッションであることを確認します。
リアルタイムレポート
GA4の「レポート」>「リアルタイム」や「ユーザー獲得」「トラフィック獲得」から、流入元が google / organic
のままであることを確認できます。
まとめ|クロスドメイン設定とチャネル保持のポイント
GA4ではクロスドメイン設定を正しく行うことで、自然検索などの流入元を維持したまま別ドメインでのCVを正しく記録できます。
ただし、以下のような点に注意が必要です。
- クロスドメイン設定で
linker
の設定をしているか? _gl
パラメータが削除されたり壊れたりしていないか?- URLパラメータによるサイトの動作不良が起きていないか?
- リファラスパムや誤認を防ぐために除外設定がされているか?
GA4は柔軟かつ強力な分析ツールですが、設定ミスや意図しない仕様干渉によって、計測データが狂うリスクもあるため、丁寧な実装とテストが非常に重要です。
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