同意モードの「基本モード」と「詳細モード」の違い|どっちを選ぶとCVが減るか・GTMで今の実装を確かめる手順
同意モードの基本モードと詳細モードの違いを、同意前の挙動とモデリング条件で整理しました。CVが減る理由、Networkタブのgcsで今の実装を見分ける手順、自社はどっちにすべきかの判断表まで解説します。
この記事のポイント
- 同意モードの基本モードと詳細モードの違いは、同意前にGoogleタグが動いて通信を送るかどうかの一点に尽きる。
- 基本モードのほうがCVは減りやすいが、詳細モードでもモデリングのしきい値に届かなければ数字は戻らない。
- 今の実装は、バナー操作前のcollectにgcs=G100が付くかをNetworkタブで見れば、5分で基本か詳細か確定できる。
- CVが減ったら、実際の減少・同意率による欠損・モード選択の3つに切り分けてから、詳細へ切り替えるか判断するのが定石である。
同意バナーを入れた翌週からCVが減り、「うちの同意モードは基本なのか詳細なのか」と聞かれて答えに詰まる。広告・計測の担当者が、制作会社やCMPの担当者との打ち合わせで最初につまずくのは、たいていここです。Tag Assistantを開いても同意状態は出ますが、基本か詳細かまでは表示されません。
この記事では、同意モードの基本モードと詳細モードの違いを「同意前にタグが動くか」で整理し、どっちを選ぶとCVが減るのかを、モデリングの条件と合わせて説明します。そのうえで、Networkタブとgcsパラメータで今の実装を確定させる手順、CV減少の切り分け、自社に合うモードの判断表、切り替えを依頼するときの仕様までを順に扱います。

同意モードの基本モードと詳細モードの違いは「同意前にタグが動くか」
図1: 基本と詳細の通信の流れ
同意モードの基本モードと詳細モードの違いは、ユーザーが同意バナーを操作する前にGoogleタグが起動して通信を送るかどうかです。基本モードは同意があるまでタグを一切読み込まず、詳細モードはタグを読み込んだうえで、同意がない間は個人を識別しない最小限の情報だけを送ります。
ここでいうGoogle同意モード(Consent Mode v2)とは、ユーザーの同意状態をGoogle広告やGA4などのGoogleタグに伝え、同意状態に応じてCookieの使用や送信データを切り替える仕組みです。同意状態は ad_storage、analytics_storage、ad_user_data、ad_personalization の4つのシグナルで管理されます。
| 状態 | 基本モード | 詳細モード |
|---|---|---|
| 同意前 | Googleタグは読み込まれず、通信なし | タグが起動し、Cookieなしのpingを送信 |
| 拒否時 | 通信なし | Cookieなしのpingのみ送信 |
| 同意後 | タグが読み込まれ、通常の計測 | 同意状態が更新され、通常の計測 |
| CVモデリング | 一般モデルが限定的に働く | 一般モデル+広告主固有モデル(条件あり) |
| GA4の行動モデリング | 働かない | 条件を満たせば働く |
同意前と拒否時に送られるもの
詳細モードの同意前・拒否時に送られるCookieなしのpingとは、Cookieや広告IDを使わず、同意状態やタイムスタンプ、ブラウザ情報などの限定的な情報を載せた通信のことです。ページビューの有無やおおまかな流入の事実は伝わりますが、ユーザーを追跡する情報は含まれません。基本モードは、この通信自体が発生しません。
モデリングの範囲(一般モデルと広告主固有モデル)
Google広告のコンバージョンモデリングには、大きく2つの層があります。一般モデルは、同意したユーザー全体の傾向から拒否分を推定するもので、基本モードでも限定的に働くと整理されています。広告主固有のモデルは、そのアカウント自身のpingと同意済みデータを使うもので、詳細モードが前提になります。e-dialogの「Consent Mode: Basic vs. Advanced」でも、この2段構えが整理されています。
GA4の行動モデリングは詳細モードだけ
GA4の行動モデリングは、詳細モードでのみ動きます。e-dialogの解説によれば、条件は拒否状態のイベントが1日1,000件以上ある日が7日以上あり、かつ同意済みユーザーが1日1,000人以上いる日が直近28日のうち7日以上あることです。基本モードでは、拒否されたユーザーのデータがGA4に届かないため、モデリングの材料そのものがありません。
基本と詳細、どっちを選ぶとCVが減るのか
CVが減りやすいのは基本モードですが、詳細モードに切り替えても、モデリングのしきい値に届かなければ数字は戻りません。「どっち」の問いは、減り方の差だけでなく、詳細にして実際に戻る規模かどうかまで含めて考える必要があります。
基本モードで見えなくなるCV
基本モードでは、バナーで拒否した、あるいは何も操作せずに離脱したユーザーのCVが、Google広告にもGA4にも直接は記録されません。Google広告側では一般モデルによる推定で一部が補われるものの、補正の精度や範囲は限定的です。同意率が6割なら、残り4割分の行動は直接観測できない、と単純化して考えると状況をつかみやすいと思います。
詳細にしても戻らないケース(クリック数・イベント数の条件)
詳細モードにしても戻らないのは、広告主固有モデルの条件に届かない場合です。Googleのヘルプでは、Google広告のコンバージョンモデリングについて、同意状態で拒否されたクリックが7日間で700件程度必要といった条件が示されています(2026年時点。数値は変更される可能性があるため、必ず最新のヘルプで確認してください)。GA4側は前述の1日1,000イベント・1,000ユーザーです。
日本の中小サイトでは、月間の広告クリックが数千程度というケースも珍しくなく、拒否分だけで7日700クリックに届かないことがあります。この場合、詳細に切り替えても推定は一般モデル止まりになり、期待したほどCVは戻りません。詳細モードはプライバシーポリシーの記載や実装工数も増えるため、効果が見込めないなら基本のままという判断も十分にあり得ます。
今の実装が基本か詳細かを確かめる手順
Networkタブで通信を確かめる
今の実装が基本か詳細かは、シークレットウィンドウでバナーを操作する前のNetworkタブを見れば確定できます。バナー操作前にgcs=G100付きのcollectが飛んでいれば詳細モード、何も飛ばなければ基本モードです。Consentlyの「Consent Mode Basic vs Advanced」でも、Tag Assistantの同意タブでは両者を見分けられず、Networkタブでの判定が必要だと指摘されています。
シークレットウィンドウでバナー操作前のcollectを見る
手順は次のとおりです。
- シークレットウィンドウを開き、DevToolsのNetworkタブを開く(Preserve logにチェック)
- フィルタ欄に
collectと入力する - 対象ページを開く。同意バナーには触れない
- この時点でcollectのリクエストが出ているかを見る
出ていれば詳細、出ていなければ基本の可能性が高いです。ただしCMPの読み込みが遅れている場合もあるため、数秒待ってから判断してください。
gcs=G100とG111の読み方
gcsパラメータは G1xy の形で、xが広告(ad_storage)、yが分析(analytics_storage)を表し、1が許可、0が拒否です。
| gcsの値 | 意味 |
|---|---|
| G100 | 広告:許可、分析:拒否…ではなく、x=1・y=0の並びを読む。広告側が許可状態で分析が拒否の組み合わせ |
| G111 | 広告・分析ともに許可 |
| G101 | 広告拒否、分析許可 |
| G100 以外で両方0の状態 | 両方拒否(表記はG100系の扱いになる点は実装で異なる) |
このあたりは表記の揺れがあるため、設計上の判定基準として、Consentlyが示す「バナー操作前にgcs=G100付きのcollectが出るか」を目安にし、実際の値は自社の初期値設定と突き合わせて読んでください。同意前の初期値を拒否にしているのに、バナー前からG111が出るなら、初期値の設定が効いていない可能性があります。
gcdで4つのシグナルを確かめる(非公式の補助)
gcdパラメータは、v2で加わった4つの同意シグナルの初期値と更新後の値を文字コードで持ちます。Didomi Help Centerの解説では、13r3r3r3r5 のような値は、初期値が拒否で、同意後に許可へ更新された状態を表す例として紹介されています。シークレットウィンドウで、初期状態→同意→拒否の順にgcdを見比べる方法が定番です。ただし、文字コードの意味はGoogleが公式に公開しておらず、変わる可能性があります。あくまで補助の確認として使い、ad_user_dataやad_personalizationまで確かめたいときに限るのが無難です。
GTMプレビューの同意タブで分かること・分からないこと
Googleタグマネージャー(GTM)のプレビューでは、Tag Assistantの同意タブから、各シグナルの初期値と更新後の状態、同意の初期化トリガーでタグが動いたかが分かります。一方で、基本か詳細かの判定はできません。通信が実際に外へ出ているかは、Networkタブでしか確認できないためです。プレビューがつながらずに手順が止まったら、GTMプレビューがつながらないときのチェックリストを先に見てください。
同意バナー導入後にCVが減ったときの切り分け方
同意バナー導入後のCV減少は、実際の減少、同意率による欠損、モードとしきい値の問題の3つに分けて見ると、直すべき場所が決まります。モードを変える前に、この順番で原因を潰しておかないと、詳細にしても数字が戻らず、判断の根拠を失います。
導入日と減少日を合わせる
まず、バナーの公開日と、CVが落ち始めた日をカレンダー上で重ねます。公開日の前から下がっているなら、同意モードではなく広告や季節要因を疑うべきです。Elevarusの記事は米国のリード獲得系での主張で、ベンダーの数値でもあるため、そのまま日本に当てはめるべきではありません。ただ、設定変更とCV変動を同じ週に混ぜて見ないという教訓は有用です。広告のCR差し替えや入札変更と同じ週にバナーを入れていないか、確認してください。
同意率を出す
CMPの管理画面(CookiebotやCookieYesなど)では、同意・拒否・無操作の割合が見られるものが多くあります。GA4のセッション数とCMP側の訪問数を比べても、おおまかな欠損率が出ます。同意率が低いほどCVの見えない部分は増えるので、ここで欠損の大きさを確定させます。バナーの文言や表示位置の見直しで同意率が上がれば、モード変更より先に効く場合もあります。
Google広告の診断タブでモデリングの状態を見る
Google広告の「ツール」から、コンバージョンの診断タブを開くと、同意モードやモデリングの状態が表示されます。ここで「モデリングが有効」と出ていれば、しきい値は超えています。出ていなければ、条件未達の可能性が高いです。推定値を含む数字の読み方は、「モデル値を含む」の読み方で扱っています。
自社はどっちを選ぶべきか|判断表
図2: 基本か詳細かの判断ツリー
自社の選択は、配信地域、流入規模、プライバシーポリシーの記載の3点で決まります。EEA向け配信があるなら詳細を検討する価値が高く、日本向けのみでしきい値に届かないなら基本のままが現実的です。
| 条件 | 推奨 |
|---|---|
| EEA向け配信あり、かつ7日700クリック等に届く | 詳細 |
| EEA向け配信あり、規模は小さい | 基本でも運用可。法務確認を優先 |
| 日本向けのみ、バナーあり、しきい値に届く | 詳細を検討 |
| 日本向けのみ、バナーあり、しきい値未満 | 基本のまま |
| 日本向けのみ、バナーなし | 同意モードは不要 |
EEA向けの配信がある場合
EEA(欧州経済領域)向けの配信があるなら、同意モードv2への対応は事実上必須です。IAB TCF v2.2対応のCMPを使うことが多く、同意の取得と伝達はCMP側が担います。そのうえで基本か詳細かは、上の表のとおり規模で決めます。
日本向けのみでバナーを入れている場合
日本向けのみでバナーを入れている場合、詳細にして得られるのは推定の補完であり、CVが元に戻る保証はありません。しきい値に届くかを先に確認し、届かないなら工数をかけない判断で構いません。
プライバシーポリシーの記載との整合
詳細モードは、同意前にもCookieなしのpingを送ります。この点が、プライバシーポリシーやバナーの説明文と矛盾しないかを確認する必要があります。「同意前は一切の情報を送信しません」と書いたまま詳細にすると、記載と実態がずれます。最終的な文面は法務や専門家に確認してください。計測全体のなかでの優先順位は、拡張コンバージョン・CAPI・CMPの整備順も参考になります。
詳細モードへ切り替えるときの依頼内容と確認項目
制作会社に切り替えを依頼する
詳細モードへ切り替えるときは、同意の初期化トリガーで初期値を拒否に設定し、Google以外のタグに追加の同意チェックを入れるよう依頼し、切り替え後は2週間かけて数字を見ます。基本の設定方法はGTMの同意モードと同意の初期化トリガーの仕組みに任せ、ここでは依頼時に必要な仕様だけ整理します。
同意の初期化トリガーと初期値は拒否
制作会社やCMPベンダーには、次の点を伝えます。
- CMPのタグを「同意の初期化」トリガーで発火させること
- 4つのシグナルの初期値をすべて拒否(denied)にすること
- Googleタグ(GA4・Google広告)は、同意前も読み込ませる設定にすること(詳細モードの要件)
- 同意後に update が正しく送られること
Google以外のタグの追加の同意チェック
Meta広告やLINE広告などのGoogle以外のタグは、同意モードに自動では従いません。GTMのタグ設定で「追加の同意チェック」を有効にし、必要な同意種別を指定してください。ここが抜けると、同意前に他媒体のタグが動く事故が起きます。
切り替え後2週間の見方
切り替え後は、まずNetworkタブで前述の手順を再度実行し、バナー操作前のcollectが出ていることを確認します。そのうえで2週間ほどは、Google広告の診断タブとGA4のデータ品質の表示を毎週確認します。モデリングが反映されるまで時間がかかるため、数日で結論を出さないでください。この期間は、入札や予算の大きな変更を重ねないほうが、効果の切り分けが容易です。
よくある質問
Q:日本向けだけのサイトでも同意モードは必要ですか?
同意バナーがなければ、同意モードだけ入れても何も変わりません。EEA向けの配信がある場合や、すでに同意バナーを導入している場合に必要になります。
Q:詳細モードにすればCVは元の数字に戻りますか?
戻りません。推定CVで補われるのは一部だけです。7日間で700クリックなどの条件に届かなければ、広告主固有のモデルは動きません。
Q:Tag Assistantで基本か詳細かは分かりますか?
同意状態は見えますが、モードの判定はできません。Networkタブで、バナー操作前の通信を見てください。
Q:同意モードを入れるとリマーケティングリストは減りますか?
ad_storageやad_personalizationが拒否されたユーザーは、リストに入りません。そのため縮小は起こり得ます。対処はリマーケティングリストのユーザー数が少なすぎるときの対処で扱っています。
Q:サーバーサイドGTMにすれば拒否分のデータは戻りますか?
戻りません。同意の判定は、サーバー側でも引き継がれるためです。判断材料はサーバーサイドGTMを入れるべきかの判断をご覧ください。
真策堂では、同意モードの実装確認やCV減少の切り分けについて、こうした観点でご相談を受けています。基本か詳細かの判断に迷われた場合は、お気軽にお問い合わせください。
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