真策堂
· Web広告

Google広告の商標不承認・制限付きの対処|使用許可申請と申し立てを受けた側の対応フロー

Google広告が商標で不承認・有効(制限付き)になる原因は商標権者の申し立てです。商標を使いたい側の使用許諾リクエストと再審査の手順、申し立てを受けた側の広告文修正、守りたい側の申立フォームの書き方まで、立場別の対応フローを当日実行できる形で解説します。

Google広告のキーワードは正常に配信できているのに、広告文だけが「不承認」や「有効(制限付き)」になっている——この状態で審査結果画面とにらめっこしている運用担当者は少なくありません。原因を調べようとしても、Google広告のヘルプは一般論の説明で止まっており、「自分は今どの立場で、何をすればいいのか」までは教えてくれないのが実情です。

結論から言うと、Google広告の商標制限は媒体側が能動的にチェックしているのではなく、商標権者からの申し立てがあった商標だけを対象に発動する仕組みです。つまり対応方法は、自分が「商標を使いたい側」なのか「商標を守りたい側(申し立てを受けた側、あるいはこれから申し立てる側)」なのかで完全に分岐します。

この記事では、Google広告ポリシー(商標)の仕組みを踏まえたうえで、使いたい側の使用許諾リクエスト(第三者承認)と再審査の手順、申し立てを受けた側の広告文修正フロー、自社商標を守りたい側の商標権侵害の申し立てフォームの書き方までを、当日中に動ける粒度で整理します。

この記事のポイント

  • Google広告の商標制限は媒体側の自動検知ではなく、商標権者からの申し立てベースで発動する
  • 制限対象は広告文のみで、キーワード入札自体はポリシー違反にならない
  • 使いたい側は使用許諾リクエスト(第三者承認)フォームの申請後、既存の不承認広告を再審査に出す必要がある
  • 守りたい側は特定広告主指定で申し立て、対応期間は目安6〜8週間、最大16週間とブレる前提で動く
  • 申し立てを受けた側は広告文修正が最短ルート、出所混同を招く表現だけは媒体対応で終わらない

Google広告が商標で不承認・制限付きになるのはなぜか

Google広告の商標に関する不承認は、Googleが商標データベースを巡回して見つけているわけではなく、商標権者自身が申し立てフォームを提出した商標だけが制限対象になります。ここを誤解していると、対応の優先順位そのものを間違えます。

商標ポリシーは「申し立てがあった商標」だけに働く

Google広告ポリシー(商標)とは、商標権者からの申し立てを受けて特定の商標語句の広告文での使用を制限する仕組みのことです。申し立てがされていない商標であれば、たとえ第三者の登録商標であっても広告文に含めた時点で機械的に弾かれるわけではありません。逆に言えば、申し立てが一件も来ていない商標は野放しに近い状態にもなり得るため、自社商標を守りたい側は「放っておけば媒体が勝手に守ってくれる」とは考えないほうが安全です。

キーワード入札は制限されない:制限対象は広告文

PPC Heroの記事では、商標はキーワードの入札では制限されず、広告文での使用のみが申し立てベースで制限される二層構造であると指摘されています。日本のGoogle広告運用でもこの構造は同じで、競合や他社の商標をキーワードとして登録すること自体はポリシー上のブロック対象ではありません。ただし表示URLや見出しでの扱いは要素ごとに分かれるため、不承認が出た際は「どの要素が引っかかったか」を先に特定する必要があります。この論点は競合ブランドキーワード入札の攻防と撤退ラインの設計でも詳しく扱っているので、入札戦略まで踏み込みたい場合はあわせて参照してください。

「不承認」と「有効(制限付き)」の違い

「不承認」は広告が配信されない状態、「有効(制限付き)」は一部の国・地域や条件下でのみ配信が制限される状態を指します。有効(制限付き)ステータスは配信が完全に止まっているわけではないため見落とされがちですが、放置すると機会損失が積み上がる点は不承認と変わりません。ステータスの文言を確認したら、まず自分の立場を確定させることが次の一手になります。

まず確認:自分がどの立場かで対応ルートが変わる

対応の最短ルートは、自分が「商標を使いたい側」「正規代理店・販売店」「申し立てを受けた側」「商標を守りたい側」のどれに当たるかで決まります。ここを飛ばして広告文を修正し始めると、本来なら許諾を取るだけで解決した案件に余計な工数をかけることになります。

立場別の対応ルート判断フロー

立場状況最短ルート
商標を使いたい側他社商標を広告文で使いたいが不承認使用許諾リクエストで許諾を取得
正規代理店・販売店本部やメーカーの商標を扱う立場アカウントIDの事前登録を本部に依頼
申し立てを受けた側自社広告が商標で不承認・制限中広告文修正→再審査請求
商標を守りたい側自社商標が他社広告で使われている商標権侵害の申し立てフォームを提出

どの広告のどの要素が引っかかったかをポリシーマネージャーで特定する

ポリシーマネージャーとは、Google広告アカウント内でポリシー違反・制限の詳細と影響範囲を確認できる管理画面のことです。ステータス列の「詳細を表示」から、見出し・説明文・表示URLのどの要素が原因かを確認できます。ここで対象の商標語句と申し立て元の情報が表示される場合もあるため、次のセクション以降の対応に進む前に必ず目を通しておきましょう。

商標を使いたい側:使用許可(許諾)を取って配信する手順

他社商標を自社の広告文で使いたい場合、最短ルートは商標権者から許諾を得て使用許諾リクエスト(第三者承認)フォームを提出することです。許諾さえ取れれば、広告文での商標使用そのものは認められます。

商標権者から許諾を得る:依頼時に渡すべき情報(アカウントID)

まず商標権者本人、またはその代理店に許諾を依頼します。依頼時には自社のGoogle広告アカウントID(顧客ID)を明示する必要があります。これは商標権者側がフォームで「どのアカウントに使用を許可するか」を指定する際に必須の情報だからです。商標権者が誰か分からない場合は、J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)で商標の権利者情報を検索して連絡先を辿るのが実務的な入り口になります。

使用許諾リクエスト(第三者承認)フォームの申請手順

使用許諾リクエスト(第三者承認)フォームとは、商標権者がGoogleに対して特定のアカウントに商標の広告文使用を許可する意思表示を行うための申請フォームのことです。手順は次の流れになります。

  1. 商標権者が許諾する広告主のアカウントIDを控える
  2. Googleの使用許諾リクエストフォームに商標語句・許諾対象アカウントID・商標登録情報を入力
  3. Googleによる審査(申立時と同程度の期間を要する場合がある)

Direct Online Marketing(DOM)の記事では、正規リセラーのアカウントIDを事前にホワイトリスト化しておく運用が紹介されており、承認までの目安は3〜5営業日とされています。日本国内でも、本部と販売代理店・フランチャイズの関係にある企業がこの運用を取り入れれば、代理店切替のたびにIDの登録漏れで広告が止まるという事故を防ぎやすくなります。

許諾されても既存の不承認広告は自動で戻らない:再審査の出し方

許諾を得ても、すでに不承認になっている広告は自動的には復活しません。これは実務で最もつまずきやすい落とし穴です。許諾が反映された後は、対象の広告を一度編集して保存し直すか、Google広告の管理画面から手動で再審査をリクエストする必要があります。許諾を取った安心感でここを放置すると、配信が止まったままの状態が続くので注意してください。

許諾が取れない場合:商標を外した広告文の作り方と代替訴求

商標権者と連絡が取れない、または許諾を断られた場合は、商標語句を広告文から外して配信を続ける方針に切り替えます。見出しは商標名の代わりに商品カテゴリ名や機能訴求に置き換え、説明文でも比較訴求は「他社製品と比較して」のような一般化した表現にとどめます。キーワード入札自体は制限されないため、指名検索の需要を取りにいくこと自体は可能です。

再販業者・情報サイトは許可なしで使える場合がある

再販業者や情報サイトについては、一定の条件を満たせば商標権者の許諾なしに広告文で商標を使用できる例外が設けられています。ただし条件を満たしていない場合は通常どおり不承認の対象になります。

例外が認められるランディングページの条件

例外が適用されるのは、リンク先ページが対象商品・サービスの販売または詳細情報の提供を主目的としており、価格情報が明示され、広告主と商標権者の関係が誤解を招かない形で示されている場合です。単に商標名をキーワードとして使うためだけに作られた薄いページでは例外は認められません。

海外配信時の注意:EU/EFTAはより厳格、米英豪は自動例外あり

BrandVerityの記事によれば、Googleは地域ごとに異なっていた商標ポリシーの統一を進めていますが、再販業者・情報サイトの自動例外は米国・英国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドなどが対象で、EU・EFTA圏は消費者の混同防止を軸によりGoogle側の裁量が厳格に運用されるとされています。越境ECや海外向け配信を行う場合、日本国内と同じ感覚で商標を使うと、EU圏だけ想定外の制限を受ける可能性がある点は押さえておくべきでしょう。

商標の申し立てを受けた側の対応:何を直せば配信再開できるか

自社の広告が商標の申し立てを受けて不承認・制限中になった場合、最短の復旧ルートは広告文の修正と再審査請求です。争うかどうかを決める前に、まず直せる範囲を確認するのが定石です。

申し立て通知の読み方と影響範囲の確認

ポリシーマネージャーの詳細画面で、対象の商標語句とどの国・地域が影響を受けているかを確認します。特定の国だけが制限対象になっているケースもあるため、全世界で配信が止まっていると思い込まず、影響範囲を正確に把握することが最初の一歩です。

広告文修正→再審査請求の手順

商標語句を見出し・説明文・表示URLから削除し、保存後に再審査をリクエストします。GrowLeadsの記事では、競合ブランド名への入札自体はポリシー違反ではなく、争点になるのは広告文やランディングページでの出所混同であると整理されています。日本の実務に当てはめても、商標語句そのものより「その企業の公式であるかのような誤解を与える表現」が問題視されやすい傾向があると言えるでしょう。

正当な使用なのに制限された場合の異議申し立て

自社が正規の商標権者・ライセンシーである、あるいは指示的公正使用(商品名を説明のために使っているだけ)に該当する場合は、Googleのサポートを通じて異議を申し立てることができます。この際、商標登録証やライセンス契約書などの根拠資料を添付できると審査が進みやすくなります。

法的リスクの線引き:出所混同を招く表現は媒体対応で終わらない

広告文の修正で配信は再開できても、それだけで法的リスクが消えるわけではありません。自社の商品・サービスが商標権者のものであるかのように誤認させる表現を使い続けていた場合、商標権侵害として別途、商標権者から警告や損害賠償請求を受ける可能性があります。媒体上の不承認解除と、法務上のリスク解消は別問題だと切り分けて考える必要があります。

自社の商標を他社広告に使われた側:申し立てのやり方と注意点

自社商標が他社の広告文で無断使用されている場合は、商標権侵害の申し立てフォームから対応します。ただし申し立て範囲の設計を誤ると、自社の正規パートナーの広告まで巻き込んで止めてしまう副作用があります。

商標権侵害の申し立てフォームの入力要件

商標権侵害の申し立てフォームとは、商標権者がGoogleに対して自社商標の広告文での無断使用の制限を求めるための申請フォームのことです。入力には商標登録番号、登録国、権利者情報、無断使用している広告主の情報(分かる範囲で)が必要になります。商標登録番号はJ-PlatPatで確認できます。

特定広告主指定と全広告主一括の使い分け:正規パートナーを巻き込まない

BrandVerityの記事では、申し立ては「全広告主一括」よりも「特定広告主指定」の方が、正規代理店や販売パートナーの広告まで誤って制限してしまう事故を避けられると指摘されています。自社に正規代理店やフランチャイズ加盟店がある場合、全広告主一括で申し立てると、翌日から加盟店の広告まで一律に不承認になりかねません。無断使用している広告主が特定できているなら、その広告主だけを指定して申し立てるのが安全です。

対応までの期間の目安と、その間にできる防衛策

BrandVerityの記事によると、Googleの商標申し立てへの対応期間は目安で6〜8週間、実際には1日から最大16週間までブレる場合があるとされています。この期間中は無断使用が続く可能性があるため、指名検索広告文の「ブランド設定」機能で自社ブランド名の表示を強化し、自社の公式広告であることを検索結果上で明確にしておくと、ユーザーの誤認を減らす防衛策になります。詳しい設定手順はGoogle検索広告の「ブランド設定」で指名検索を守る方法で解説しています。

事前防衛:正規代理店・販売店のアカウントIDを許諾リストに登録しておく

申し立てを出す前に、まず自社の指名キーワードが他社にどの程度使われているかを洗い出しておくと、特定広告主指定の精度が上がります。指名キーワードを他社に奪われているか確認する方法で紹介している調査手順を使えば、無断使用の実態を把握したうえで申し立て範囲を絞り込めます。また正規代理店・販売店には、あらかじめアカウントIDを控えてもらい許諾リストとして管理しておくと、申し立て範囲から確実に除外できます。

よくある質問

Q:商標登録されているキーワードに入札するのは違法ですか? 入札行為自体はGoogle広告のポリシー違反でも、直ちに違法になるものでもありません。制限の対象になるのは広告文での商標の使用であり、キーワードとしての入札は原則制限されません。ただし広告文やランディングページで出所の混同を招く表現があれば、別途商標権侵害が問題になる余地はあります。

Q:商標の使用許諾を得たのに広告が不承認のままなのはなぜですか? 使用許諾リクエスト(第三者承認)フォームで許諾が承認されても、既存の不承認広告は自動的には復活しません。許諾後に対象の広告を編集して保存し直すか、手動で再審査をリクエストする操作が別途必要です。許諾さえ取れば自動的に解決すると誤解しやすいポイントなので注意してください。

Q:商標の申し立てをしてから制限がかかるまでどのくらいかかりますか? BrandVerityの記事によれば、目安は6〜8週間、実際には1日から最大16週間までブレるとされています。対応を待つ間は、自社の指名検索広告でブランド設定を強化するなど、指名検索の防衛を並行して進めておくのが実務的な対処です。

Q:Yahoo!広告の商標対応はGoogle広告と同じですか? 商標権者からの申し立てを起点に、広告文での使用が対象になるという基本構造はYahoo!広告でも共通しています。ただし申請の受付窓口や審査の運用は媒体ごとに異なるため、複数媒体で配信している場合はそれぞれの申請フォームと審査基準を個別に確認しておく必要があります。

Q:申し立てが却下された・広告が消えない場合はどうすればいいですか? まず申し立て範囲を全広告主一括から特定広告主指定に見直し、無断使用の証拠(広告のスクリーンショットや掲載期間など)を追記して再提出します。それでも改善しない場合は、弁護士を通じた警告書の送付など法的措置への切り替えを検討する段階に入ります。


Google広告の商標対応は、立場の見極めと申請フォームの使い分けさえ間違えなければ、多くのケースで当日〜数日以内に動き出せる問題です。真策堂では、商標起因の不承認・制限付きの切り分けから、申し立て・使用許諾申請の実務的な進め方まで、こうした観点でのご相談を受けています。対応方針に迷う場合は、お気軽にお問い合わせください。

Related Articles
Contact

広告運用・マーケティングのご相談はこちらから
お問い合わせフォーム・公式LINEのどちらでもOK