Google広告を「所在地」にしても商圏外クリックが残る理由|新宿の店舗の切り分け手順
Google広告の地域設定を「所在地」に変え、半径指定もしたのに商圏外からクリックされる原因を、反映漏れ・P-MAXの仕様差・よく訪れるユーザー・位置推定の誤差の4系統で切り分け。新宿の商圏で削るクリックと残すクリックの判断、表示回数が減った時の対処まで解説します。
この記事のポイント
- Google広告の地域設定を「所在地」にしても、位置判定は推定でよく訪れるユーザーも対象のため、商圏外クリックはゼロになりません。
- 残る商圏外クリックは、反映漏れ・P-MAXなどの仕様差・よく訪れるユーザー・位置推定の誤差の4系統で切り分けられます。
- 新宿は通勤・通学の来街者が多く、遠方在住でも見込み客になりうるため、削る基準はユーザーの所在地別のCVで決めます。
- 表示回数が減っても、減った分が商圏外ならCVとCPAを見て維持できます。まず自社の管理画面でレポートを確認してください。
「所在地」に変え、半径も絞った。それでも検索語句やレポートを開くと、見覚えのない地域からのクリックが並んでいる。ここで設定をさらにいじり始める前に、残っているクリックが何なのかを見分ける必要があります。Google広告を「所在地」に設定したのに対象地域外からクリックされる状況は、設定ミスとは限りません。仕様として残る部分が含まれているからです。
設定の直し方そのものは、商圏外クリックを減らす設定手順(半径指定と所在地オプションの直し方)で扱っています。この記事はその続きです。直した後に残るクリックの正体を切り分け、追加で削るか、そのまま許容するかを判断するところまでを書きます。

Google広告を「所在地」に設定したのに商圏外からクリックされるのはなぜ?
Google広告の「所在地」オプションは、対象地域にいるユーザーと、その地域をよく訪れるユーザーに配信する設定です。位置の判定は端末や設定、行動のシグナルによる推定であり、Google広告ヘルプ(地域の詳細オプション)でも100%の精度は保証されないとされています。そのため、所在地に変えても商圏外クリックはゼロになりません。
所在地オプションが対象にするのは「いる人」と「よく訪れる人」
初期設定の「所在地やインタレスト」は、地域にいる人に加え、その地域に関心を示した人にも配信されます。これを「所在地」に変えると、関心だけの人は外れます。ただし対象は「いる人」だけにはなりません。「よく訪れる人」が残ります。
新宿で言えば、埼玉や千葉から毎日新宿駅に通勤する人は、居住地が商圏外でも、よく訪れる人として対象に入ります。これは設定の不具合ではなく、設計どおりの挙動です。
位置の判定は推定で、100%の精度は保証されていない
Google Ads Help「About advanced location options」には、位置の判定にシグナルを使うこと、精度が保証されないことが記載されています。IPアドレスだけで判定される環境や、端末の位置情報をオフにしている環境では、ずれが出ます。社内で「なぜ消えないのか」と聞かれたら、この公式記載が説明の根拠になります。
設定手順そのものは既存記事へ
画面操作の詳細は、新宿の地域ターゲティング設定を管理画面5ステップで進める手順に任せます。以降は、設定を終えた状態から始めます。
残っている商圏外クリックはどのレポートで確認する?
残っている商圏外クリックの確認には、Google広告の地域レポートで「ユーザーの所在地」を使い、キャンペーン別に分けて見ます。「一致した地域」は広告が狙った地域との対応を示す指標で、見る目的が違います。2つを混同すると、商圏外クリックの量を誤って判断します。
「ユーザーの所在地」と「一致した地域」の違い
ユーザーの所在地レポートは、クリックや表示が発生した時にユーザーが物理的にいたと推定される地域を示します。一方、一致した地域は、広告の配信がどのターゲット地域に一致したかを示します。たとえば関心だけで一致した場合、一致した地域は新宿でも、ユーザーの所在地は別の県になります。
商圏外クリックの量を測るのは、ユーザーの所在地です。一致した地域は、設定が意図どおりに働いているかを確かめる補助として使うと、役割が整理できます。
キャンペーン別に分けて見る理由
アカウント全体で見ると、設定済みのキャンペーンと未修正のキャンペーンが混ざり、原因が見えません。レポートはキャンペーン別にセグメントします。商圏外が多いキャンペーンが特定の1〜2本に偏っていれば、次章の「反映漏れ」や「仕様差」を疑う材料になります。
市区町村単位で出ない行がある理由
地域レポートでは、一部の行が市区町村まで出ないことがあります。ユーザー保護のためのプライバシーしきい値により、少数のクリックしかない地域は詳細が表示されないためです。「その他」に近い行で出る分は、量が少ない場合が多いと見て、まず大きい行から潰します。細かい行を追いかけて時間を使うのは、費用対効果が合いません。
商圏外クリックが残る原因は何で切り分ける?
図1: 商圏外クリックが残る4系統の切り分け
残る商圏外クリックは、設定の反映漏れ、P-MAXなど仕様が違うキャンペーン、よく訪れる遠方在住者、位置推定の誤差の4系統に分けられます。上から順に疑うと、直せるものから潰せます。
設定の反映漏れ(キャンペーンごとの設定・新規作成時の初期値)
地域オプションはキャンペーン単位の設定です。1本直しても、他のキャンペーンは「所在地やインタレスト」のまま残ります。新規作成時の初期値も、「所在地やインタレスト」に戻っている場合があります。
確認は、キャンペーン設定の「地域」から「地域の詳細オプション」を開き、全キャンペーンで「所在地」になっているかを1本ずつ見ます。まずここを疑うのが最短です。
P-MAXなど所在地オプションの仕様が違うキャンペーン
P-MAXは、検索キャンペーンと所在地オプションの扱いが異なります。Google Ads Helpでも、P-MAXは別枠で記載されています。2026年時点で、管理画面で選べる項目や既定値は、公式ヘルプの現行記載で確認してください。
デマンドジェネレーションは、Google広告ヘルプ上、所在地オプションの対象に含まれます。一方、除外は所在地ベースのみで機能します。P-MAXで商圏外が多く出る場合は、仕様の範囲で対処するしかなく、除外地域の追加か、キャンペーンの分割が現実的な手段になります。
新宿をよく訪れる遠方在住者(通勤・通学・買い物)
新宿駅は乗降客数の多いターミナルで、昼夜人口の差も大きく、通勤・通学・買い物で訪れる来街者が多くいます。こうした人は、居住地が商圏外でも、よく訪れるユーザーとして正当に配信されます。これは「直す」対象ではなく、「判断する」対象です。第4章で扱います。
位置推定の誤差(IP・端末設定)
IPアドレスによる推定は、事業者の基地局や回線の位置に引きずられます。端末の位置情報を切っている人も多く、誤差は一定量発生します。これは設定で消せません。ユーザーの所在地レポートで、クリックが1〜数件ずつ散らばる地域の多くは、この系統です。許容する前提で、全体に占める比率だけを監視します。
| 系統 | 見分け方 | 対処 |
|---|---|---|
| 反映漏れ | 特定キャンペーンに偏る | 地域の詳細オプションを修正 |
| 仕様差 | P-MAXなど特定の種別に偏る | 除外地域・分割 |
| よく訪れる人 | 隣接県や沿線に集中 | CVを見て残すか決める |
| 推定誤差 | 少数ずつ広く散らばる | 許容し比率を監視 |
新宿の商圏で「削るクリック」と「残すクリック」はどう分ける?
遠方在住でもCVが出る地域は残す
新宿で商圏外クリックを削るかどうかは、ユーザーの所在地別のCVとCPAで決めます。来街者が多い新宿では、居住地が遠くても予約や来店につながる人がいるため、商圏外という理由だけで削ると見込み客を失うことがあります。
来店型と訪問・配送型で変わる判断
来店型は、遠方在住者でも、通勤や通学の途中に寄れるなら見込み客になりえます。一方、出張訪問や配送のように、サービス提供エリアが物理的に決まっている業態では、エリア外のクリックはほぼ価値がありません。この場合は、除外を積極的に足します。
エリアの客層は、西新宿のオフィス街、歌舞伎町の夜間、新宿三丁目の買い物客で異なります。違いは西新宿・歌舞伎町・新宿三丁目で変わる客層と配信設計を参考にしてください。
ユーザーの所在地別にCVを見て決める
判断の手順は次のとおりです。
- ユーザーの所在地レポートを、期間を3か月ほどにとって出す。
- 地域ごとに、クリック・費用・CVを並べる。
- CVが出ていない地域のうち、費用が大きいものを削る候補にする。
- CVが出ている遠方の地域は、残す。
CVが少なすぎて判断できない地域は、クリック数ではなく費用の割合で優先順位をつけます。なお、GA4の地域データと突き合わせるとズレが出ます。理由はGoogle広告のクリック数とGA4のセッション数が合わない原因にまとめています。
除外地域を足す時の注意点
除外地域とは、広告を表示させない地域を指定する設定です。Google広告ヘルプによれば、除外は所在地ベースです。つまり「その地域に物理的にいる人」を止める設定で、その地域に関心がある人までは止めません。
足しすぎると、通勤客が多い沿線まで止まり、見込み客を落とします。除外は「CVがなく費用だけ出ている地域」に限定します。
所在地に変えて表示回数が減ったら元に戻すべき?
所在地に変えて表示回数が減っても、元に戻すかどうかはCVとCPAで決めます。減った分が商圏外の表示であれば、CVに影響しないため、維持して問題ありません。表示回数そのものは、判断の指標にしないのが原則です。
減った分の中身を確認する
変更前後の期間を同じ長さで比べ、ユーザーの所在地別に表示回数とCVを見ます。商圏外の表示が減り、商圏内のCVが維持されていれば、設定は成功しています。逆に、商圏内のCVも落ちていれば、配信が絞られすぎている可能性があります。
戻す・維持する・半径を広げるの3択
- 維持する:商圏内のCVとCPAが変わらない。
- 半径を広げる:商圏内のCVが落ち、顧客分布から見て広げる余地がある。
- 戻す:全体のCVが明確に減り、広げても改善しない。ただし戻す場合は、除外地域で個別に止める方が被害は小さい。
「戻す」は最後の手段です。まず半径や地点の追加で対処します。
スマート入札では地域の入札調整が効かない前提で考える
目標CPAや目標ROASのスマート入札では、地域ごとの入札単価調整は基本的に効きません。Adalysisの記事でも、成果の悪い地域は入札を下げるのではなく、除外で対処すると整理されています(2021年の記事のため、現行仕様は管理画面で確認してください)。日本でもスマート入札が主流のため、「入札を下げて絞る」発想は使えません。具体策はスマート入札で地域の入札調整が効かない時の代替3手段に整理しています。
複数媒体の役割分担も判断に入ります。Google検索は意図の強い人を拾い、Googleマップ(Googleビジネスプロフィール経由)は近隣の来店意向を拾い、Meta広告やLINEは認知や再来店を担います。Google検索の表示回数が減っても、他媒体やマップで補えるなら、全体のCVで判断できます。
半径指定は新宿でどこまで狭めてよい?
Google広告の半径指定は、最小で半径1kmまで設定できます。新宿のような人の多い地域でも、1kmより狭める設定はできません。狭くして配信量が出なければ、地点を増やすか、地域指定と組み合わせます。
顧客の住所・来店元から商圏を逆算する
PulseOpsの記事では、過去6〜12か月の顧客住所を集計して、実際の来店分布から半径を逆算する方法が紹介されています。日本でも同じ考え方が使えます。予約システムや会員データの住所を、市区町村や最寄駅の単位で集計し、顧客の大半が収まる範囲を確認します。感覚で「半径3km」と決めるより、根拠が持てます。
円形にならない商圏は地点を複数置く
新宿の商圏は、沿線方向に細長く伸びることが多く、円形にはなりません。この場合、1つの大きな円ではなく、小さな円を複数置いて、沿線の主要駅をカバーします。
なおPulseOpsではZIPコード指定の手法も紹介されていますが、これは米国の事情です。日本では郵便番号単位の指定は実用的ではないため、市区町村と半径の組み合わせで代替します。
複数地点をまとめる場合、Optmyzrの記事が指摘するように、好調な地域と不調な地域が予算を共有し、不調な地域が静かに予算を消費します。分けるかまとめるかは、キャンペーンを地域で分割するか統合するかの判断フレームを参考にしてください。
狭めすぎて配信されない時の戻し方
配信が出ない時は、半径を一段階ずつ広げ、1〜2週間ほど様子を見ます。1km未満の狭域をどうしても使いたい場合の代替設計は、半径ターゲティングが最小1kmである理由と狭域配信の代替設計で説明しています。
設定後はどの頻度で見直す?
設定後の見直しは、月次で3項目を確認し、四半期ごとに半径を見直す形が運用しやすい頻度です。新規キャンペーンの作成時は、毎回地域の詳細オプションを確認します。
月次で見る3項目
- ユーザーの所在地レポート:商圏外の費用比率が増えていないか。
- 地域別のCVとCPA:CVがなく費用だけ出ている地域がないか。
- キャンペーン別の地域設定:「所在地」から変わっていないか。
四半期で見直す半径
PulseOpsも四半期ごとの見直しを勧めています。顧客分布は店舗の入れ替わりや客層の変化で動くため、四半期ごとに半径と地点を、直近の顧客データと照らします。
新規キャンペーン作成時の確認
新規作成時は、初期値が「所在地やインタレスト」になっていることがあります。作成直後に、地域の詳細オプションを必ず開いてください。反映漏れの大半は、ここを確認すれば防げます。
よくある質問
Q:Google広告で地域を設定したのに対象地域外で表示・クリックされるのはなぜですか?
初期設定が「所在地やインタレスト」で、地域に関心を示した人にも配信されるためです。「所在地」に変えても、位置推定の誤差と、よく訪れるユーザーへの配信は残ります。
Q:Google広告の「所在地」と「所在地やインタレスト」の違いは何ですか?
「所在地」は、対象地域に物理的にいる人と、よく訪れる人に配信します。「所在地やインタレスト」は、それに加えて、その地域に関心を示した人まで含みます。
Q:Google広告の半径指定は最小何kmまで設定できますか?
最小1kmです。狭すぎると配信量が出にくくなります。代替策は半径ターゲティングが最小1kmである理由と狭域配信の代替設計を参照してください。
Q:P-MAXでも所在地オプションは変更できますか?
P-MAXは検索キャンペーンと仕様が異なります。変更できる項目は時期によって変わるため、2026年時点の公式ヘルプの記載を確認してください。変更できない場合は、除外地域の追加やキャンペーンの分割で対処します。
Q:所在地に変えたら表示回数が減りました。元に戻した方がよいですか?
表示回数ではなく、所在地別のCVとCPAで判断します。減った分が商圏外の表示であれば、維持して問題ありません。商圏内のCVも落ちている場合は、半径を広げることを先に検討します。
Q:スマート入札を使っていても地域ごとに入札を調整できますか?
目標CPAや目標ROASでは、地域ごとの入札調整は基本的に効きません。成果の悪い地域は、除外やキャンペーンの分割で対処します。
商圏外クリックが残る原因の切り分けや、削るか残すかの判断は、業態によって答えが変わります。真策堂ではこうした観点で、新宿の来店型ビジネスの広告運用について相談を受けています。管理画面のレポートを見ながら整理したい場合は、お気軽にご連絡ください。
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