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京野菜の農家が直販を増やすWeb集客|飲食店卸と個人通販を分ける二層販路フレーム

京野菜の農家が直販を増やすには、飲食店卸と個人通販を分けて設計するのが近道です。飲食店バイヤー向けページの必須項目、業務用の語に絞ったGoogle広告、Instagramでの個人通販の集客、旬に合わせた年間カレンダーまで整理しました。

この記事のポイント

  • 京野菜の農家が直販で集客するなら、買い手を飲食店と個人に分け、出荷量に合う側から一つずつ作るのが近道です。
  • 飲食店バイヤーは価格より品質の安定と入荷情報を見るため、卸のページは商品カタログではなく入荷リストと取引条件で組みます。
  • Google広告は「業務用」「仕入れ」などバイヤーの語に絞り、Instagram広告は旬とストーリーの訴求検証に使うと役割が分かれます。
  • 最初の一手は、入荷リスト・最低ロット・納品曜日・欠品時の連絡方法を一枚にまとめた飲食店向けページの作成です。

九条ねぎの出荷が最盛期に入ったところで、通販ページに飲食店からの問い合わせが一件届く。ところが「業務用はいくらからですか」という問いに、ページのどこにも答えが書かれていない——。京野菜の農家が直販に踏み出したとき、最初に起きがちなのがこの場面です。個人向けに作ったページを、そのまま飲食店にも見せてしまう。買い手が違えば、探す語も、見る項目も、買い方も違います。

この記事では、京野菜の農家が直販を増やすための Web 集客を、飲食店卸(BtoB)と個人通販(BtoC)を分ける「二層販路フレーム」として整理します。自分の出荷量でどちらから着手するかを決め、飲食店向けページを作り始めるところまでを目標にします。

九条ねぎの問い合わせに答えが書けていない

京野菜の農家が直販で集客するには何から始めればいい?

二層販路フレームの全体像 図1: 二層販路フレームの全体像

京野菜の農家が直販で集客するなら、まず買い手を「飲食店」と「個人」に分け、出荷量と人手に合う方のページから一つずつ作るのが基本です。両方を同時に立ち上げようとすると、どちらの買い手にも刺さらないページができあがります。

一つの通販ページで両方を獲ろうとすると失敗しやすい理由

個人客は「旬」「ストーリー」「贈り物になるか」で買います。飲食店のバイヤーは「来週何が何キロ入るのか」「毎回同じ品質か」「欠品のとき連絡があるか」で仕入れ先を選びます。同じ商品ページに「送料込み・ギフト対応」と「ケース単位・定期発注」を並べると、どちらの読者も自分向けの情報を探すのに手間取り、離脱します。

飲食店側の事情もあります。Journal of Extension に掲載されたシェフ調査の報告(Research in Brief)では、シェフが地元産品を買わない障壁の上位に「いつ何が出せるかの情報不足」が挙がっています。忙しい料理人は仕入れ先を自分から探す時間が乏しく、農家の側が情報を出して近づく必要がある、という趣旨です。日本の京野菜でも、飲食店が見つけやすい形で入荷予定を出しているかどうかが、問い合わせの入口になると考えられます。

二層販路フレームの全体図

二層販路フレームとは、買い手ごとにページ・媒体・KPIを別々に組む考え方です。

第1層:飲食店卸(BtoB)第2層:個人通販(BtoC)
入口の媒体Google広告(検索)、GoogleビジネスプロフィールInstagram(Meta広告)、LINE公式アカウント
受け皿飲食店向けページ(入荷リスト・取引条件・サンプル依頼)BASE・STORES 等の EC カートの商品ページ
主なKPIサンプル依頼数、取引開始数、定期発注数購入単価、リピート率、広告費あたりの売上

出荷量の少ないうちは、片方だけで十分です。どちらから始めるかは、次の章の判断表で決めます。

飲食店卸と個人通販は何が違うのか

出荷量と人手で分ける判断ツリー 図2: 出荷量と人手で分ける判断ツリー

飲食店卸と個人通販の違いは、検索語・購入基準・単価・頻度・物流の五点に集約できます。ここを押さえずに媒体や予算の話に入ると、設計が最初からずれます。

項目飲食店卸個人通販
検索語「京野菜 業務用」「九条ねぎ 仕入れ」「京野菜 お取り寄せ」「賀茂なす 通販」
買う基準品質の安定、入荷情報、連絡体制旬、ストーリー、ギフト性
頻度週次の定期発注が土台単発、または季節ごと
物流指定曜日・時間帯の納品、小ロットでも継続クール便での個別配送

飲食店が見るのは品質の安定・入荷情報・連絡体制

University of Nevada, Reno Extension の資料は、シェフ31人への調査で、産地や鮮度(5点満点中4.97)の次に品質の安定(同4.87)が重視されたと紹介しています。価格より、毎回同じ品質で届くか、欠品時に連絡が来るかが取引の継続を左右するという読み方です。

日本の飲食店バイヤーにも、この傾向はそのまま当てはまると考えられます。京野菜は「ブランド京野菜」という看板だけで興味は引けても、取引条件が見えなければ発注に進めません。バイヤー向けページでは、安さを前面に出すより、出荷の安定性と連絡体制を書く方が筋が通ります。

個人が見るのは旬・ストーリー・ギフト性

個人客にとって、万願寺とうがらしや賀茂なすは「今が旬」「こう食べると美味しい」という理由があって初めて買い物かごに入ります。畑の様子、作り手の顔、調理のイメージ。商品の性能表より、季節の物語が購入理由になります。

出荷量と人手から卸と通販の比率を決める判断表

「ケースによる」で終わらせず、出荷量と人手で分岐させます。以下は目安であり、品目や圃場の条件で変わります。

状況先に作る層理由
週に複数回、一定量を安定して出せる飲食店卸定期発注と相性が良く、一件あたりの取引が積み上がる
出荷量は少なく、品目が季節で大きく変わる個人通販小ロットでも旬の訴求で売り切りやすい
梱包・発送に割ける人手がない飲食店卸納品先がまとまり、個別配送が減る
営業や納品に出る時間がない個人通販受注後に発送するだけで回せる
両方余力がある飲食店卸を先に、通販は旬の時期だけ卸の土台ができてから通販を足す方が崩れにくい

飲食店バイヤー向けページには何を載せればいい?

入荷リストを週ごとに更新する農家 入荷リストを週ごとに更新する農家

飲食店バイヤー向けページには、商品写真の羅列ではなく、入荷リスト・最低ロット・納品曜日・支払い条件・欠品時の対応・サンプル依頼の導線を載せます。営業の代わりに働くページ、という位置づけです。

Local Line の「How to Sell Produce to Restaurants」では、飲食店取引の土台は単発注文ではなく週次の定期発注(standing order)だと説明されています。入荷リストを毎週決まった曜日に発注リンク付きで送り、欠品は早めに知らせて代替品を出す、という運用です。日本では発注リンクをフォームや LINE に置き換えれば同じことができます。

入荷リスト(旬カレンダー)の公開と更新の頻度

入荷リストとは、今週・来週に出荷できる品目と数量の目安を並べた表です。ページ上に常設し、更新日を必ず入れます。更新日が半年前のままだと、バイヤーは「動いていない農家」と判断して離れます。

更新は週に一度、曜日を固定するのが現実的です。そのうえで、年間の旬カレンダー(九条ねぎは冬、賀茂なすは夏、など)を別枠で置くと、季節メニューを考える段階のシェフが先の仕入れを検討できます。

最低ロット・納品曜日・支払い条件・欠品時の対応

この四点が書かれていないページは、問い合わせの前に閉じられます。書き方の例を挙げます。

  • 最低ロット:1回の注文で何キロ、または何ケースから
  • 納品曜日と時間帯:仕込み前の午前中、など。Local Line は仕込み後・ランチ営業前の時間帯に固定することを勧めています
  • 支払い条件:月末締め翌月払いか、納品ごとか
  • 欠品時の対応:何時までに、どの手段(電話・LINE)で連絡し、代替品を出すか

小ロットしか出せない農家は、無理に大きな数字を書かず、「少量から。内容は相談」と書いた方が誠実です。

サンプル依頼フォームと問い合わせ導線

フォームの項目は絞ります。店名、担当者名、連絡先、希望品目、納品先エリアの五つ程度に留め、「サンプルを送る」か「畑を見に来てもらう」かを選べるようにします。電話しか窓口がないと、営業時間中の仕込みで忙しいシェフは連絡できません。

業務用の価格は公開すべきか、非公開にすべきか

公開すると、価格を見て判断できるバイヤーからの問い合わせが増えますが、個人客に卸値が見えてしまう点と、相場が動いたときに更新が追いつかない点が弱みです。非公開にして「問い合わせ後に価格表を送る」運用なら、個人向けの価格を守れます。迷うなら、価格は非公開にして、条件と入荷リストだけを公開するのが扱いやすい形です。

なお、飲食店向けページの広告設計や LP の考え方は、京都の事業者が全国バイヤーにBtoB受注を届けるGoogle広告×SEO設計でも詳しく扱っています。

飲食店卸のGoogle広告はどう組むか

飲食店卸の Google 広告は、バイヤーが打つ「品目×業務用・仕入れ」の語に絞った検索広告を少額で回し、ゴールをサンプル依頼と問い合わせに置いて組みます。Google広告とは、検索結果などに広告を出し、クリックされた分だけ費用が発生する広告サービスです。

「京野菜 業務用」「九条ねぎ 仕入れ」など品目×業務用のキーワード

キーワードは、品目名と取引の語を掛け合わせます。たとえば「九条ねぎ 業務用」「京野菜 仕入れ」「京野菜 農家直送 飲食店」といった組み合わせです。個人向けの「京野菜 お取り寄せ」「通販」は、卸の広告では除外キーワードに入れます。管理画面の「キーワード」から「除外キーワード」を開き、個人客の語を登録しておく作業を忘れると、予算が個人の閲覧に流れます。

地域設定は京都市内か、全国の飲食店か

配送の頻度を毎週守れるなら、京都市内と近郊の飲食店に絞る方が現実的です。クール便で全国に送る体制があり、品目に希少性があるなら、全国に広げる選択肢もあります。まずは納品できる範囲に絞って始め、反応を見て広げる順番が安全です。

コンバージョンはサンプル依頼と問い合わせに置く

コンバージョンとは、広告の成果として計測する行動のことです。卸では、購入ではなく、サンプル依頼フォームの送信と電話の発信を設定します。月数件の依頼しか来ない規模でも、どの語から来たかが分かれば十分です。

個人通販はInstagramとInstagram広告でどう集客するか

畑でスマホ撮影する農家 畑でスマホ撮影する農家

個人通販の集客は、Instagram(Meta広告)で畑・旬・食べ方を伝え、広告で訴求の効き方を検証し、LINE公式アカウントで旬の入荷を知らせてリピートにつなげる流れが基本です。

投稿で伝える3つの軸(畑・旬・食べ方)

畑の様子、今週の旬、食べ方の三つを回します。「今日の収穫」だけでは写真が似通うので、食べ方の投稿を必ず混ぜます。詳しい運用と広告の組み合わせは、InstagramのSNS運用と広告のハイブリッド設計で整理しています。

Instagram広告は訴求軸の検証を先にやる

University of Wisconsin Extension の「Social Media for Direct Market Farms」では、CSA(定期野菜箱)サイトへの Facebook 広告テストで、地域ターゲティングの効き方はどの農場でもほぼ同じで、成果を分けたのは訴求メッセージの差だったと紹介されています。

日本の京野菜でも、配信地域をいじるより、「旬」「作り手の顔」「食べ方」のどの切り口が反応を取るかを先に比べる方が効率的と考えられます。広告は2〜3パターンのCRを並べて、クリック率と購入までの流れを見比べます。

LINE公式アカウントで旬の入荷を知らせてリピートにつなげる

LINE公式アカウントとは、企業が友だち登録した人にメッセージを送れるサービスです。旬の入荷時期に「今週から賀茂なすが出ます」と知らせるだけで、リピーターの再訪を促せます。設計の詳細はLINE公式アカウントでリピート売上を育てる設計を参照してください。個人向けの販路を広げる選択肢としては、ふるさと納税を販路にするWeb設計もあります。

京野菜の旬と京都の行事に合わせた年間の集客カレンダーはどう組む?

年間カレンダーは、旬の品目と京都の行事(お盆、年末、観光シーズン)から逆算し、飲食店には季節メニューの切り替えより前に、個人には贈答需要に合わせて動くのが基本です。

飲食店は季節メニューの切り替えより前に提案する

飲食店は新しい季節メニューを組む前に仕入れ先を決めます。夏の賀茂なすや万願寺とうがらしを提案するなら春先、冬の九条ねぎなら秋口に、入荷リストの予定を更新しておきます。旬が来てから連絡しても、メニューはすでに固まっています。

個人は年末の贈答・お取り寄せ需要に合わせる

個人向けは、お盆前と年末の贈答・お取り寄せが山です。Instagram の投稿と LINE の告知は、受注の締め切りから逆算して前倒しで動かします。観光農園のような来園型の集客は別の設計になるため、京都の観光農園の収穫カレンダー起点の集客設計を参考にしてください。

通販を始める前に確認しておくことは?

通販を始める前に、生鮮食品の表示、特定商取引法に基づく表記、クール便の送料と小ロットの採算の三点を確認します。2026年時点の制度は、必ず公式の案内で最新の内容を確認してください。

生鮮食品の表示と特定商取引法に基づく表記

生鮮食品は、名称と原産地の表示が必要です。通販ページには、特定商取引法に基づく表記(販売業者名、所在地、連絡先、価格・送料、支払方法、返品条件など)を載せます。自宅兼畑で住所の公開に不安がある場合の考え方は、特定商取引法に基づく表記の住所の扱いにまとめています。

クール便の送料と小ロットの採算

野菜は単価が低く、クール便の送料の比率が高くなります。送料込みの商品設計にするか、一定額以上で送料を無料にするか、事前に原価・梱包費・送料を並べて下限を決めます。小ロットで赤字になる品目は、セット販売や定期便にまとめる方法があります。

卸と通販それぞれで見るKPIと見直し方は?

卸は「サンプル依頼数・取引開始数・定期発注数」、通販は「購入単価・リピート率・広告費あたりの売上」を別々に見ます。混ぜて見ると、どちらが機能しているか分かりません。

卸:サンプル依頼数・取引開始数・定期発注数

サンプル依頼から取引開始まで、取引開始から定期発注までの二段階で見ます。サンプル依頼が多いのに取引が始まらないなら、ページの取引条件か、サンプルの品質に原因があります。見直しは月次で十分です。

通販:購入単価・リピート率・広告費あたりの売上

購入単価が低ければセット販売を、リピート率が低ければ LINE の旬の案内を見直します。広告費あたりの売上は、訴求ごとに比べます。見直しは旬の入れ替わりごとに行うと、季節の動きに合います。

ページ制作や広告費の資金面は、京都の補助金でホームページ制作・Web広告費をまかなう方法が参考になります。

なお、Local Line などの米国のサービスでは、卸と個人向けを一つの在庫で管理し、非公開の卸価格リストと公開ストアを出し分ける仕組みが普及しています。日本では同等の専用ツールが少ないため、EC カートの限定公開ページやフォームで代用する必要がある点には注意が要ります。

よくある質問

Q:農家がレストランや飲食店と直接取引するにはどうすればいい?

入荷リストと取引条件(最低ロット、納品曜日、欠品時の連絡)をページで公開し、サンプル依頼を受ける導線を作ります。訪問する場合は、仕込みやランチ営業の時間帯を避けるのが礼儀です。

Q:飲食店向けの野菜の値段はどう決める?

米国の Local Line では、卸価格は小売価格の50〜70%が目安とされています。日本でもこれを参考にしつつ、原価・送料・最低ロットから下限を決め、その範囲で調整する考え方が現実的です。

Q:京野菜をネットで売るときに必要な表示や手続きは?

生鮮食品の名称と原産地の表示、特定商取引法に基づく表記、送料と配送条件の明記が必要です。制度は更新されるため、公式の案内で最新の内容を確認してください。

Q:少ない予算でGoogle広告とInstagram広告どちらから始めるべき?

飲食店卸を狙うなら検索広告、個人通販を狙うなら Instagram 広告から始めます。出荷量と狙う層で決めるのが基本です。

Q:業務用の価格はWebサイトで公開すべき?

公開は問い合わせの質が上がる一方、個人客に卸値が見える弱みがあります。非公開にして、問い合わせ後に価格表を送る運用も有効です。迷うなら、条件と入荷リストだけを公開してください。

まとめ

京野菜の農家が直販を増やすには、飲食店卸と個人通販を分け、出荷量に合う側から一つずつ作ることが近道です。最初の一手は、入荷リスト・最低ロット・納品曜日・欠品時の連絡を載せた飲食店向けページの作成です。

真策堂では、こうした観点で京都の農家・事業者の方からの相談を受けています。ページの構成や広告の組み方で迷われた際は、お気軽にご相談ください。

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