Google広告「コンバージョン」と「すべてのコンバージョン」の違い|数が合わない理由とどっちを見るか
Google広告の「コンバージョン」列と「すべてのコンバージョン」列の違いを、入札の学習用と観測用という役割から解説。数が合わない4つの内訳(サブCV・ビュースルー・クロスデバイス・カウント方式)の分解手順、スマート入札に効く方の見極め、場面別にどちらを見るべきかの判断基準まで実務目線で整理します。
Google広告「コンバージョン」と「すべてのコンバージョン」の違い|数が合わない理由とどっちを見るか
この記事のポイント
- 「コンバージョン」列は入札に使うメインCVのみ、「すべてのコンバージョン」は全アクションの観測用の数字である
- 乖離率(すべてのCV÷コンバージョン)が急に広がった場合、まず疑うべきはメイン/サブ設定とGA4インポート設定
- スマート入札の学習評価には必ず「コンバージョン」列を使い、ファネル診断には「すべてのコンバージョン」を使う
- GA4のキーイベントはインポート直後はサブ扱いになるため、収益に直結するイベントは手動でメインへ昇格させる必要がある
- 内訳の分解はコンバージョンアクション別セグメントを使えば管理画面上で当日中に確認できる
Google広告のレポート画面で「コンバージョン」と「すべてのコンバージョン」という2つの列を見比べたとき、数字が一致しないことに戸惑った経験はないでしょうか。経営会議で「今月のコンバージョン数は?」と聞かれて、どちらの数字を報告すればいいのか迷う。あるいはスマート入札の成果を評価しようとしたら、参照する列によって着地が変わって判断に困る。こうした場面は運用担当者であれば一度は通る道です。
結論を先に言うと、この2列は同じ指標の重複表示ではありません。「コンバージョン」列は入札アルゴリズムが学習に使うメインのコンバージョンアクションだけを集計した数字、「すべてのコンバージョン」列はメイン・サブを問わず設定済みの全アクションを合算した観測用の数字です。役割が違うので、数が合わないのはむしろ正常な状態と言えます。
本記事では、この2列の定義差にとどまらず、乖離が生まれる4つの内訳をどう自分の管理画面で分解するか、そして経営報告・入札評価・ファネル診断という3つの実務場面でどちらの数字を正とすべきかまで、判断できる状態を目指して整理します。

「コンバージョン」列と「すべてのコンバージョン」列の違いとは
同じ広告なのに数え方が違う様子を発見
「コンバージョン」列にはメインのコンバージョンアクションに設定されたアクションのみが集計され、「すべてのコンバージョン」列にはメイン・サブを問わず計測対象の全アクションが合算されます。前者はGoogle広告のスマート入札が学習の根拠として参照する数字、後者は広告アカウント全体の成果を俯瞰するための数字だと考えると整理しやすくなります。
2つの列に入る数字の範囲比較表
| 項目 | コンバージョン列 | すべてのコンバージョン列 |
|---|---|---|
| 集計対象 | メインのコンバージョンアクションのみ | メイン+サブの全アクション |
| ビュースルーコンバージョン | 含まない | 含む |
| クロスデバイスコンバージョン | メイン設定分のみ | 全アクション分を含む |
| スマート入札の学習利用 | 利用される | 利用されない |
| 用途 | 入札評価・収益直結指標 | ファネル診断・行動全体の把握 |
『学習用』と『観測用』という役割の違い
この違いを「集計範囲の差」としてだけ覚えると、実務で見誤りやすくなります。むしろ「入札に効く数字」と「効かない数字」という役割の差として理解したほうが応用が利きます。コンバージョン列は目標コンバージョン単価や目標広告費用対効果といったスマート入札が最適化の対象にする値そのものです。一方ですべてのコンバージョン列は、資料請求やカタログダウンロードのような補助的な行動、YouTube広告経由のビュースルーコンバージョンまで含めた「広告がユーザーに与えた影響の全体量」を映す鏡になります。どちらが優れているという話ではなく、見る目的が違うだけです。
「すべてのコンバージョン」の方が多いのはなぜ?差になる4つの内訳
図1: 差を生む4つの要因を一目で整理
すべてのコンバージョン列がコンバージョン列より多く出るのは仕様であり、計測エラーではありません。差分は主に4つの要素に分解できます。順に見ていきます。
サブのコンバージョンアクション
コンバージョンアクションの設定画面で「サブのコンバージョンアクション」に区分されたアクションは、すべてのコンバージョン列にのみ計上されます。資料請求後のメルマガ登録や、電話問い合わせのうち成約に至らないものなど、収益への直結度が低いアクションはサブに分類されることが多く、これが乖離の代表的な要因になります。
ビュースルーコンバージョン
ビュースルーコンバージョンとは、広告が表示されただけでクリックされなかったユーザーが、その後一定期間内にコンバージョンした場合にカウントされる指標です。この数字はコンバージョン列には反映されず、すべてのコンバージョン列と専用のビュースルーコンバージョン列にのみ表示されます。動画広告やディスプレイ広告の出稿量が多いアカウントほど、この項目の寄与が大きくなる傾向があります。
クロスデバイス・来店などの特殊コンバージョン
スマートフォンで広告をクリックしたユーザーがパソコンで購入を完了するようなクロスデバイスコンバージョン、あるいは来店コンバージョンといった特殊な計測項目も、多くの場合すべてのコンバージョン列側に厚く反映されます。業種によってはこの項目が乖離の大きな割合を占めることもあり、BtoBや高額商材では検討期間が長い分だけデバイスをまたぐ動きが増えやすいと言われています。
カウント方法(全件/初回)の設定差
見落とされがちなのが、コンバージョンアクションごとに設定する「カウント方法」の差です。全件カウントに設定されたアクションは同一ユーザーの複数回の行動をすべて積み上げる一方、初回カウントに設定されたアクションは初回のみを計上します。この設定はメイン/サブの区分とは独立して効いてくるため、同じサブ設定のアクションでもカウント方法次第で乖離幅が変わります。
どっちを見るべきか?場面別の使い分け判断
場面ごとに見る数字を選び分ける担当者
結論から言えば、参照する列は「何を評価したいか」で機械的に決まります。入札評価にはコンバージョン列、ファネル診断にはすべてのコンバージョン列、経営報告には目的に応じた使い分けが必要です。
| 場面 | 見るべき列 | 理由 |
|---|---|---|
| スマート入札の成果評価 | コンバージョン列 | 入札アルゴリズムが学習に使う数字そのものだから |
| ファネル診断・アシスト効果の把握 | すべてのコンバージョン列 | 広告が関与した行動全体を捉えられるから |
| 経営報告 | 目的次第(原則コンバージョン列を主指標に) | 収益直結の行動を軸に説明責任を果たしやすいため |
スマート入札の評価は「コンバージョン」列
目標コンバージョン単価や目標広告費用対効果でスマート入札を運用している場合、入札の巧拙を評価する指標はコンバージョン列一択です。すべてのコンバージョン列が伸びていても、それはアルゴリズムの評価とは無関係な数字の増加である可能性が高く、入札調整の判断材料にはなりません。
ファネル診断・アシスト把握は「すべてのコンバージョン」
広告が購買プロセスのどこに影響を与えているかを見たいときは、すべてのコンバージョン列のほうが実態に近い数字を返します。ビュースルーやクロスデバイスの動きを無視してコンバージョン列だけで判断すると、認知・比較検討段階で効いている広告を「成果が出ていない」と誤って評価してしまう恐れがあります。
経営報告に載せる数字の決め方
経営報告では、まずコンバージョン列を主指標として据え、必要に応じてすべてのコンバージョン列を補助指標として併記する形が実務では扱いやすいとされています。両方の数字を並べて乖離率まで示せば、報告を受ける側も「広告の直接効果」と「間接的な波及効果」を切り分けて理解しやすくなります。
スマート入札に効くのはどちらか|メイン/サブ設定との関係
図2: メイン/サブ設定と入札学習の関係を図解
2列の差の正体は、突き詰めるとメインのコンバージョンアクションとサブのコンバージョンアクションの設定にあります。スマート入札はメインに設定されたアクションだけを学習対象にするため、この設定こそが列の違いを生む根本原因です。
Search Engine Journalの記事「How To Fix Google Ads Smart Bidding Issues With Primary vs. Secondary Conversions」では、コンバージョン設定を単なるタグ管理ではなく「入札シグナル設計」として捉える枠組みが提唱されています。メインは収益に直結する1〜2個のアクションに絞り、マイクロコンバージョンはサブに落として観測専用にする、という考え方です。日本のアカウントでも、メイン設定にマイクロコンバージョンを混在させたまま運用しているケースは少なくなく、この枠組みは設定の棚卸しの指針として十分に使えると考えられます。
メインCVは収益直結アクションに絞る理由
メインに複数の性質が異なるアクションを混在させると、入札アルゴリズムが最適化すべき方向性が薄まり、学習効率が落ちると言われています。購入や申込のような収益直結アクションだけをメインに残し、それ以外はサブに整理するのが基本方針です。
GA4インポートがサブ扱いになる罠
GA4(キーイベントのインポート)でGoogle広告にキーイベントを連携した場合、そのイベントは初期状態でサブのコンバージョンアクションとして登録されます。手動でメインに切り替えない限り、いくらキーイベントが発生してもコンバージョン列には反映されません。MoreVisibilityの記事では、この初期設定に気づかないまま運用を続け、低価値なアクションを誤ってメインに設定してしまうと、入札がその行動ばかりを量産し広告費用対効果が見かけ倒しになる危険性が指摘されています。GA4インポート運用が主流になっている日本のアカウントでも、同様の見落としは起きやすいポイントです。設定の見直し方についてはコンバージョンの「含める」「含めない」の設定判断で詳しく扱っています。
設定変更後の再学習期間の見込み方
メイン/サブの設定を変更すると、入札アルゴリズムは新しいシグナル構成のもとで再学習が必要になります。Search Engine Journalの記事では、この再学習期間中に一時的な成果の落ち込みが起こり得ることを織り込んだうえで設計すべきだと述べられています。目安としては数週間単位の変動を見込み、直後の数字だけで良し悪しを判断しないことが実務上の注意点になります。P-MAX(Performance Max)キャンペーンのようにシグナル依存度が高いキャンペーンタイプでは、この影響がより出やすいとされています。
乖離率の読み方と疑うべき設定|切り分けフロー
図3: 乖離が急拡大した時の切り分け手順
乖離率(すべてのコンバージョン÷コンバージョン)は、単なる差分ではなくアカウントの設計を映す診断指標として読むことができます。数値そのものに絶対的な正解値はありませんが、急激な変化があれば設定側に原因があると疑うのが定石です。
Affect Groupのガイドでは、2列の差分自体を分析対象として扱う視点が示されています。例えばコンバージョンが少なくすべてのコンバージョンが大幅に多い状態は、それだけでエラーを意味するのではなく、サブCV・クロスデバイス・ビュースルーの構成比を映した「設計された観測領域」だと捉える発想です。
乖離率の計算と目安の考え方
乖離率は「すべてのコンバージョン数 ÷ コンバージョン数」で算出します。業種やキャンペーン構成によって適正値は変わるため一律の基準はありませんが、月ごとの推移を追い、急に比率が跳ねた場合はそこに設定変更や計測トラブルが潜んでいる可能性が高いというのが実務上の見方です。
乖離が急拡大した時のチェック順序
乖離率が急に広がったときは、次の順で確認すると原因を絞り込みやすくなります。
- 直近でコンバージョンアクションの新規追加やGA4インポートを行っていないか
- 新規追加したアクションがメイン/サブどちらに設定されているか
- カウント方法が全件になっているアクションが増えていないか
- 動画広告やディスプレイ広告の配信量が増え、ビュースルーコンバージョンが伸びていないか
この順序で切り分けていけば、多くの場合は設定変更のタイミングと乖離拡大のタイミングが一致し、原因を特定できます。
内訳を確認する手順|コンバージョンアクション別セグメント
乖離の内訳は、Google広告の管理画面上でコンバージョンアクション別セグメントを適用すれば、当日中に分解して確認できます。特別な集計ツールを用意する必要はありません。
セグメントの適用手順
キャンペーンまたはコンバージョンのレポート画面を開き、セグメントメニューから「コンバージョン」内の「コンバージョンアクション」を選択します。すると、それまで合算表示されていた数字がアクションごとの行に展開され、どのアクションがメイン扱いでどれがサブ扱いか、どこにビュースルーの寄与が多いかを一覧で確認できます。乖離の大きいキャンペーンから優先的に確認すると、原因の特定が早く進みます。
『コンバージョン(コンバージョン時)』列との時間軸の違い
内訳を確認する際にもう一つ押さえておきたいのが時間軸のズレです。JudeLuxeの記事で指摘されているとおり、通常の「コンバージョン」列はクリックが発生した日付を基準に、コンバージョンが後から発生してもその日に遡って加算される仕様になっています。そのため先月分の数字が今月になってから増えることがあります。確定した実績値として扱いたい場合は、コンバージョンが実際に発生した日付でカウントする「コンバージョン(コンバージョン時)」列を併用するのが実務上の対応です。レポートの数字が変動する現象に説明が必要な場面では、この列の違いを理解しているかどうかで報告の説得力が変わってきます。
なお、コンバージョン数の解釈でつまずきやすいもう一つの論点として、「モデル値を含む」表示の正しい読み方も合わせて押さえておくと、レポート精度に対する理解がさらに深まります。媒体を横断した数値の食い違いが気になる場合は、GA4とGoogle広告のCV数が合わない原因7パターンも参考になります。
よくある質問
Q:「すべてのコンバージョン」にはカウントされるのに「コンバージョン」列に入らないのはなぜですか? そのアクションがサブのコンバージョンアクション、またはGA4インポート直後のデフォルト設定のままになっている可能性が高いです。収益への影響が大きいアクションであれば、コンバージョンアクションの設定画面からメインへ変更することで、コンバージョン列にも反映されるようになります。
Q:ビュースルーコンバージョンはどちらの列に含まれますか? ビュースルーコンバージョンはコンバージョン列には含まれません。すべてのコンバージョン列と、専用のビュースルーコンバージョン列にのみ表示されます。動画広告やディスプレイ広告の間接効果を確認したい場合は、これらの列を確認する必要があります。
Q:スマート入札はどちらの列の数字で学習しますか? スマート入札はコンバージョン列、つまりメインのコンバージョンアクションと入札の最適化目標に設定された数字のみで学習します。サブのコンバージョンアクションは学習には使われず、あくまで観測用の参考値にとどまります。
Q:先月の「コンバージョン」の数字が後から増えているのはなぜですか? コンバージョン列はクリックが発生した日付を基準に、その後の成果を遡って加算する仕様になっているためです。確定した数値をレポートに使いたい場合は、コンバージョンが実際に発生した日付でカウントする「コンバージョン(コンバージョン時)」列を使うと、後からの変動を避けられます。
マイクロコンバージョンをどう設計してスマート入札のシグナルに活かすかについては、マイクロCV設計とスマート入札の学習期間、動画広告のビュースルー系指標をさらに深掘りしたい場合はエンゲージビューとビュースルーコンバージョンの違いも参考にしてください。
真策堂では、Google広告のコンバージョン設定の棚卸しや、メイン/サブ設定の見直しによる入札シグナルの整理といった観点からのご相談を受けています。レポート上の数字の食い違いに疑問を感じている場合は、一度設定全体を確認してみることをおすすめします。
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