Google広告「コンバージョン」列と「すべてのコンバージョン」列の違い|数値がズレる仕組みとレポートで見るべき列の使い分け
Google広告の「コンバージョン」列と「すべてのコンバージョン」列の違いを解説。サブ設定・ビュースルー・電話来店・集計日ベースというズレを生む要素の分解手順、レポートで見るべき列の目的別使い分け、スマート入札を壊さないメイン/サブ設計の監査まで実務目線で整理します。
月次レポートを作っていて、「コンバージョン」列と「すべてのコンバージョン」列の数字が一致しない——この差分をクライアントにどう説明するかで手が止まった経験がある運用担当者は少なくないはずです。片方は少なく、片方は多い。しかもその差は毎月一定ではありません。
原因を突き詰めずに「だいたい同じような数字です」で流してしまうと、次の月にもっと大きな差が出たときに説明できなくなります。この2つの列は仕様上まったく別の役割を持っており、差が出ること自体は異常ではありません。問題は、その差の内訳を分解して説明できるかどうかです。
この記事では、Google広告の「コンバージョン」列と「すべてのコンバージョン」列の定義差、数値がズレる仕組み、レポートでどちらを見るべきかの判断軸を整理します。あわせて、コンバージョン列の中身がスマート入札の学習データそのものであるという観点から、メイン/サブ設計を点検する視点も提示します。
この記事のポイント
- 「コンバージョン」列は入札の学習対象、「すべてのコンバージョン」列は成果を漏らさず拾う参考値という役割分担がある
- 数値のズレはサブ設定・ビュースルー・電話来店・集計日ベース・クロスデバイスという5要素に分解できる
- 入札評価は「コンバージョン」列、ファネル診断は「すべてのコンバージョン」のアクション別分解で使い分けるのが定石
- メインコンバージョンにマイクロCVを混ぜるとスマート入札の学習データが汚染され、成果が伸びない一因になる
- 月次レポートではどちらの列を正とするか、事前に代理店・社内で合意しておくべきである

「コンバージョン」列と「すべてのコンバージョン」列の違いとは
図1: 包含関係で見る二つの列の範囲の違い
Google広告の「コンバージョン」列とは、スマート入札の最適化対象として使われる数値であり、「すべてのコンバージョン」列とは、計測されたコンバージョンをビュースルーや除外設定分まで含めて網羅的に集計した数値です。この一文がすべての出発点になります。
一言でいうと『入札の学習対象』か『全部入りの参考値』か
「コンバージョン」列は、各コンバージョンアクションで「メインの目標としてカウントする」に設定した行動だけを集計します。目標CPAや目標ROASといったスマート入札は、この列に入る行動を増やす方向にアルゴリズムを動かします。つまりこの列は単なる実績表示ではなく、入札の学習データそのものです。
一方の「すべてのコンバージョン」列は、メイン・サブの区別なくすべてのコンバージョンアクションを合算し、さらにビュースルーコンバージョンや電話・来店コンバージョンといった特殊な計測種別も含めます。入札には使われませんが、成果の全体像を見る参考値として機能します。
2つの列に含まれるもの・含まれないもの比較表
| 項目 | コンバージョン列 | すべてのコンバージョン列 |
|---|---|---|
| メインCV(含める設定) | 含む | 含む |
| サブCV(含めない設定) | 含まない | 含む |
| ビュースルーコンバージョン | 含まない | 含む |
| 電話・来店コンバージョン | 設定次第 | 含む |
| スマート入札の学習対象 | 対象になる | ならない |
| 集計単位 | クリック日ベースが基本 | クリック日・CV日を選択可 |
この表からわかる通り、コンバージョン列はすべてのコンバージョン列の部分集合です。原則として「コンバージョン」列の数値が「すべてのコンバージョン」列を上回ることはありません。
なぜ2つの列で数値がズレるのか|差を生む5つの要素
図2: 数値のズレを生む5つの要素を分解
2つの列の差は、サブCVの混入・ビュースルー・電話や来店の特殊計測・集計日の違い・クロスデバイス推定という5つの要素に分解できます。どれか1つだけが原因のケースは少なく、たいてい複数が重なって差が広がります。
サブ(含めない設定)のコンバージョンアクション
コンバージョンアクションの設定画面で「この列をコンバージョンに含めない」を選んでいるアクションは、すべてのコンバージョン列にだけ加算されます。資料請求や電話問い合わせは含めるが、フォームの入力開始やPDFダウンロードは含めない、という設計をしているアカウントは多く、この差だけでも数値は簡単に開きます。
ビュースルーコンバージョン
ディスプレイ広告や動画広告を見た後、クリックせずに一定期間内に成果につながった行動をビュースルーコンバージョンと呼びます。この種別は仕様上「コンバージョン」列には一切カウントされません。P-MAXやデマンドジェネレーションのキャンペーンを併用しているアカウントでは、この差が目立ちやすい傾向があります。
電話・来店などの特殊コンバージョン
電話コンバージョンや来店コンバージョンは計測方法自体がクリックベースの通常コンバージョンと異なり、地域や業種によっては推定値が使われます。メインに設定していても、計測ロジックの性質上「すべてのコンバージョン」側でのみ変動が見える場合があります。
クリック日ベースとコンバージョン日ベースの違い
同じ「コンバージョン」列でも、表示項目のカスタマイズで「コンバージョン(コンバージョン日ベース)」を選ぶと集計軸が変わります。クリック日ベースは広告がクリックされた日に成果を計上し、コンバージョン日ベースは実際に成果が発生した日に計上します。月末月初をまたぐ計測では、この軸の違いだけで前月比が大きくブレることがあります。
クロスデバイスの推定コンバージョンも見落とせない要素です。スマートフォンで広告をクリックし、後日パソコンで問い合わせたようなケースは、Googleのモデリングによって補完されて計上されるため、単純な突き合わせでは説明のつかない差として現れます。
ビュースルーコンバージョンはどちらの列に入るのか
スマホで見て、後日パソコンで問い合わせる顧客
ビュースルーコンバージョンは、すべてのコンバージョン列とビュースルーコンバージョン専用の列にのみ表示され、「コンバージョン」列には含まれません。この仕様はGoogle広告ヘルプで明示されている公式の挙動です。
ビュースルーが「コンバージョン」列に入らない理由
クリックという明確な接触がない以上、その広告が本当に成果に寄与したのかを厳密に証明することはできません。Googleはこの性質を踏まえ、ビュースルーを入札の学習対象からあえて外しています。成果の「参考値」として扱うにとどめる、という設計思想です。
計測期間を絞って信頼性を担保する海外流の検証
WordStreamのレポートでは、ビュースルーコンバージョンの信頼性をルックバックウィンドウ(計測期間)の長さを変えて検証する手法が紹介されています。計測期間を1日程度まで絞り込み、タイムラグ別のコンバージョン発生状況を確認することで、単なる偶然の重複ではなく広告の影響と言えそうな成果かどうかを見極めるという考え方です。
日本の運用現場でこの発想をそのまま使うなら、ビュースルーの計測期間をデフォルトの長い設定のまま放置せず、業種の検討期間に合わせて短めに調整したうえで、すべてのコンバージョン列の伸びをどこまで成果として扱うか、社内で線引きしておくのが現実的です。ビュースルーの詳細な計測ロジックについては、エンゲージビューCVとビュースルーCVの違いも参考になります。
レポートではどちらの列を見るべきか|目的別の使い分け
図3: 目的別に見るべき列を選ぶ判断ツリー
レポートで見るべき列は目的によって変わり、入札評価とCPA計算は「コンバージョン」列、ファネル診断は「すべてのコンバージョン」列のアクション別分解、社内実数との突き合わせは「コンバージョン日ベース」列を使うのが基本方針です。
入札とCPA評価は「コンバージョン」列
スマート入札が最適化している対象そのものを評価するなら、コンバージョン列のCPAを見るのが筋です。すべてのコンバージョン列を分母にCPAを出すと、入札対象になっていない行動まで含めて広告効率が良く見えてしまい、実態と乖離した評価になりかねません。
ファネル診断は「すべてのコンバージョン」をアクション別に分解
DigitalAds.ioの整理によれば、コンバージョン列は入札の最適化に使い、すべてのコンバージョン列はアクション別のセグメントに分解してファネル全体を診断するという役割分担が有効だとされています。管理画面ではコンバージョンアクションごとにセグメント表示できるため、資料請求・電話・フォーム到達といった段階別の推移を追うことができます。
日本のレポートでも、この分解をそのまま輸入できます。サブCVを「捨てる指標」ではなく、商談化率を先読みする観察指標として使う設計です。
CRM・自社データと突き合わせるなら「コンバージョン日ベース」列
Grow My Adsの解説では、通常の「コンバージョン」列がクリックの発生日で集計されるのに対し、「コンバージョン(コンバージョン日ベース)」列は実際にコンバージョンが発生した日で集計される点が指摘されています。CRMや自社データベースの日次件数と突き合わせようとして数字が合わない場合、原因の多くはこの集計軸の混同にあります。
表示項目のカスタマイズから該当列を追加し、社内の受注日ベースの記録とはコンバージョン日ベース、クリックからの遡及効果を見たいときはクリック日ベースと、目的で使い分けるのが実務的です。ツール間のズレまで含めて疑うなら、GA4とGoogle広告のコンバージョン数が合わない原因7パターンもあわせて確認しておくと診断が早くなります。
「コンバージョン」列の中身がスマート入札を左右する理由
軽い行動をメイン目標に混ぜてしまう瞬間
コンバージョン列に何を含めるかは単なる集計の問題ではなく、スマート入札が何を学習するかを決める設計そのものです。目標CPAや目標ROASはこの列に入った行動が増える方向にしか動きません。
マイクロCVをメインに混ぜると何が起きるか
Search Engine Journalで紹介されているフレームワークでは、スマート入札の不調は入札戦略そのものよりも「コンバージョン設計の汚染」が原因であるケースが多いと指摘されています。フォームの入力開始や資料の閲覧のような、成約とはほど遠い低意図の行動をメインに含めてしまうと、低品質なシグナルで学習が歪み、数字上のコンバージョンは増えても商談や受注にはつながらない状態に陥ります。
MoreVisibilityも同様に、自動化が進むほどメインコンバージョンの選択が唯一の操縦桿になると論じています。アルゴリズムはメインに設定した行動を増やそうとするだけなので、何をメインに据えるかの判断がそのまま広告の質を左右するというわけです。
日本の管理画面でこの論点を活かすなら、まず現在メインに設定しているアクションを一覧化し、成約に直結する行動かどうかを一つずつ点検することから始めるのが現実的です。
GA4インポート・カスタム目標で起きやすい設定事故
GA4のキーイベントをGoogle広告にインポートすると、デフォルトではサブ(含めない)設定でインポートされます。これ自体は安全側の初期設定ですが、後から手動でメインに切り替えたことを忘れているアカウントは珍しくありません。
またキャンペーンごとのカスタムコンバージョン目標を使っている場合、全体設定ではサブ扱いのアクションでも、そのキャンペーン内では実質的に入札対象として扱われることがあります。この挙動は見落としやすく、監査の際にキャンペーン単位の目標設定まで確認しないと気づけません。
メイン/サブ設計の監査チェックリスト
- 現在メインに設定している全アクションを洗い出し、成約への近さで並べ替える
- GA4インポート由来のアクションがメインに紛れ込んでいないか確認する
- キャンペーン固有のコンバージョン目標を使っているキャンペーンをリストアップする
- 電話・来店コンバージョンの計測方式(推定か実測か)を確認する
- 直近3か月でメイン設定を変更した履歴がないか棚卸しする
メイン/サブの判断フローを体系立てて見直したい場合は、コンバージョンの「含める」「含めない」設定の判断フローで詳しく扱っています。マイクロCVを学習の妨げにせず観察指標として組み込む設計は、マイクロCV設計とスマート入札の学習期間が参考になります。
月次レポート・経営報告での実務的な扱い方
月次レポートでどちらの列を「正」とするかは、数字を出す前に代理店と社内側であらかじめ合意しておくべき事項です。合意なしにレポートを作ると、月によって参照する列が揺れ、経営層への説明で信頼を損ないかねません。
レポートに載せる列の定義を先に合意する
レポートのテンプレートには、CPAや獲得件数がどの列・どの集計軸に基づく数字なのかを注記として明記しておきます。「コンバージョン列(クリック日ベース)」なのか「すべてのコンバージョン列(コンバージョン日ベース)」なのか、一行加えるだけで問い合わせの手間が大きく減ります。
経営報告に出す数字は特に、入札評価用のコンバージョン列を主指標に据え、すべてのコンバージョン列は補足情報として併記する構成が扱いやすいと言われています。
2列の差分を毎月ウォッチする意味
2つの列の差が急に広がった月は、サブ設定の変更、新しいキャンペーンタイプの追加、計測タグの不具合など、何らかの変化が起きているサインです。差分の絶対値そのものよりも、前月からの変化幅を毎月チェックリストに加えておくと、設定ミスの早期発見につながります。
よくある質問
Q:すべてのコンバージョンにはカウントされるのに、コンバージョン列にカウントされないのはなぜですか? そのコンバージョンアクションが「含めない」設定になっているか、キャンペーン固有のコンバージョン目標の対象から外れていることが典型的な原因です。コンバージョンアクションの設定画面で該当アクションの「この列に含める」の状態を確認してください。
Q:ビュースルーコンバージョンは「コンバージョン」列に含まれますか? 含まれません。ビュースルーコンバージョンは仕様上、すべてのコンバージョン列とビュースルーコンバージョン専用の列にのみ表示され、入札の学習対象である「コンバージョン」列には計上されない設計になっています。
Q:レポートのCPAはどちらの列で計算すべきですか? 入札戦略の効率を評価するなら「コンバージョン」列基準のCPAを使うべきです。「すべてのコンバージョン」基準のCPAは、入札対象になっていない行動まで含んだ参考値として、別枠で扱うのが妥当です。
Q:すべてのコンバージョンの方が少なく表示されることはありますか? 原則としてありません。コンバージョン列に含まれる行動はすべてすべてのコンバージョン列にも含まれるため、コンバージョン列⊂すべてのコンバージョン列という包含関係が成り立ちます。逆転して見える場合は、集計期間のズレや表示フィルタの設定違いを疑ってください。
Google広告のコンバージョン列まわりの数字は、仕様を理解していれば説明のつかない差ではありません。真策堂では、月次レポートの数値ズレの分解からメイン/サブ設計の監査まで、こうした観点でのご相談を承っています。
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