真策堂
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バーチャルオフィスなら法人登記できる、とは限らない|契約前に確認すべきこと

自宅住所を登記簿や特商法表記に載せたくない、賃貸で本店にできるか迷う——そんな法人化準備中の方や自宅開業のフリーランスに向けて、事業用住所の選び方とバーチャルオフィスで登記する前に確認すべき点を、設立体験を交えて解説します。

ℹ️ 本記事はアフィリエイトプログラム(株式会社ナレッジソサエティ/A8.net)による収益を含みます。料金・プラン・契約条件は変わることがあるため、申し込み前に必ず公式サイトの最新情報をご確認ください(本記事は2026年9月時点)。

この記事のポイント

  • 事業用の住所は「自宅・賃貸オフィス・シェアオフィス・バーチャルオフィス」の4択で、まず自分が何を守りたいかから逆算するのが先
  • バーチャルオフィスは「契約すれば登記できる」わけではなく、登記対応のプランかどうかをプラン単位で確認する必要がある
  • 本店の番地が確定しないと定款も登記申請書も作れず、VO契約が設立スケジュール全体の起点になる(審査があるので即日ではない)
  • 料金は「月額880円」だけを見ると誤解しやすい。年間契約か単月契約かで初期費用も月額も大きく変わる
  • 事業の実態がある地域と本店が離れすぎると、法人口座の審査や取引先から見た整合性で不利に働くことがある

深夜、事業用の住所選びに頭を抱える経営者

事業用の住所、最初に何を決めるべきか

法人を作る、あるいは個人事業として特商法表記を用意する——このとき最初にぶつかるのが「事業用の住所をどうするか」という問題です。順番としては地味ですが、実はここが一番最初に詰まりやすいところだと私は感じています。

よくある詰まり方は次の4パターンだと思います。

  • 自宅を本店にすると、登記簿は誰でも取得できるので自宅住所が公開されてしまう
  • 賃貸物件だと、事業用に住所を使っていいのか(大家・管理会社の承諾が要るのか)が分からない
  • 特商法表記や名刺に自宅の住所を書きたくない
  • 実店舗も事務所も要らないのに、住所だけは必要という状況

この4つ、根っこは全部「住所を公開する範囲をどこまで許容できるか」という話です。なので最初にやるべきは「自分は何を守りたいのか」を洗い出すことで、サービス選びはそのあとです。この整理については事業用の住所をどう用意するか|自宅・賃貸・シェアオフィス・バーチャルオフィスを条件で比べるでも詳しく比較していますので、そちらもあわせて確認してみてください。

選択肢は4つ:自宅・賃貸オフィス・シェアオフィス・バーチャルオフィス

4つの選択肢を costと住所公開度で整理 図1: 4つの選択肢を costと住所公開度で整理

事業用住所の選択肢を、コストと制約でざっくり整理すると以下のようになります。

選択肢初期コスト感住所の公開登記への対応向く場面
自宅ほぼ0円登記簿・特商法表記で公開される賃貸は大家・管理会社の承諾確認が要ることがあるとにかく費用を抑えたい、住所公開を気にしない
賃貸オフィス数十万円〜(敷金・礼金・保証金)実住所が公開されるが自宅ではない問題なし(事業用契約が前提)事業の実態を伴う固定拠点が欲しい
シェアオフィス月数千円〜数万円施設住所が公開される施設・プランによる作業スペースも欲しい、来客対応もしたい
バーチャルオフィス初期費用+月額(後述)住所のみ公開、実際の作業場所は別プランによって可否が分かれる作業場所は自宅やコワーキングでよく、住所だけ欲しい

この表で一番伝えたいのは、バーチャルオフィスが唯一「住所の公開範囲」と「初期コスト」のバランスを取りやすい選択肢だということです。ただし、表の一番右下に書いた通り「プランによって可否が分かれる」という一点が、他の選択肢にはない独特の落とし穴になっています。ここは次の見出しで詳しく書きます。

バーチャルオフィスが向く人・向かない人

自宅で満足げな人と、来客対応に困る人の対比 自宅で満足げな人と、来客対応に困る人の対比

向いていると感じるのは、次のような方です。

  • 作業場所は自宅やコワーキングで十分で、住所だけを事業用に切り離したい人
  • 自宅住所を登記簿・特商法表記・名刺のどこにも出したくない人
  • マンション等の管理規約で事業用に住所を使いにくい人
  • これから起業する段階で、賃貸オフィスの初期費用(数十万円単位)を避けたい人

逆に向いていないのは、次のような方です。

  • 来客対応や作業スペースそのものが事業に必須の人(この場合はシェアオフィスや賃貸の方が合う)
  • 郵便物を即日で受け取りたい人(後述しますが転送には時間がかかります)
  • 事業の実態がある地域と本店の所在地を、どうしても一致させたい人(金融機関や取引先からの見え方を重視する場合)

「バーチャルオフィスが正解」ではなく、「住所と作業場所を切り離せる事業かどうか」で向き不向きが決まる、というのが実感です。

「バーチャルオフィス=登記できる」ではない、という落とし穴

これがこの記事で一番伝えたいことです。バーチャルオフィスと名の付くサービスであれば、どこでも法人登記の本店にできると思われがちですが、そうではありません。

私自身、2026年に自分ひとりの株式会社を設立したとき、以前から契約していた別のバーチャルオフィスを本店にしようとしたら、そのプランが法人登記に使えないプランだったという経験をしました。住所利用はできても登記には使えない、というプランは実在します。契約している=登記できる、ではないということを身をもって知りました。

結果として私は、事業の実態がある地域のバーチャルオフィスに切り替えて本店登記を進めることになりました。この切り替えの過程で分かったのが、VO契約こそが設立スケジュール全体の起点になるということです。

  • 本店の正式な番地が確定しないと、定款も登記申請書も作れない(社名・資本金・決算期を先に決めていても、住所が決まらなければ何ひとつ確定しない)
  • VO側にも審査があり、契約したその日に番地がもらえるとは限らない
  • 一方で、自宅を本店にしないことで、大家・管理会社への「本店登記の承諾確認」というタスクがまるごと消えたのは助かった点でした

流れを図にすると、こんな順番になります。

📮 ① VOに申込・審査(即日で番地はもらえない) 🏠 ② 本店の正式な番地が確定 📝 ③ 定款・登記申請書を作成(住所がないと作れない) 🏛️ ④ 法務局へ登記申請 → 登記完了 🏦 ⑤ 登記完了後に法人口座を開設
図:バーチャルオフィス契約から法人口座開設までのおおまかな流れ(筆者の設立体験ベース)

この図の①がボトルネックになりやすい、というのが実際にやってみた感覚です。「住所は後で決めればいい」ではなく、住所こそ最初に確定させるべき項目だということが、実際にやってみて一番の学びでした。

バーチャルオフィス1の料金を総額で見る

バーチャルオフィス1は東京(渋谷・神保町)と広島に拠点を持つバーチャルオフィスで、公式サイトによると法人登記に対応したプランが用意されています。料金は「月額880円」という数字だけが目立ちますが、これは年間契約時の価格で、単月契約だと3,960円と4.5倍の差があります。総額で見ないと判断を誤りやすいので、整理しておきます。

項目年間契約単月契約
月額基本料金880円/月3,960円/月
入会金(初年度のみ)5,500円5,500円
初期費用の目安16,060円(入会金+月額1年分10,560円)9,460円(入会金+初月3,960円)
保証金0円0円

さらに、月額基本料金に含まれるのはあくまで月4回までの郵便転送で、転送費用そのものは別途かかります(公式サイト記載)。

重量転送費用
50g以下150円
100g以下250円
150g以下350円
250g以下450円
500g以下600円
500g超宅配便料金

つまり「月880円+郵送費用」というのが実態に近い書き方で、月に数回転送があれば月額は1,000円前後に、頻度が多ければもう少し上がると見ておくのが現実的です。基本プランには法人登記対応・住所利用・LINE通知・店舗受取・代理サイン対応・来客応対システム・法人口座開設保証®が含まれています(いずれも公式サイト記載)。定款保管(月額880円)やワークスペース(月額8,800円)などのオプションも別途用意されています。

安く見せようとして単月契約で契約し、思ったより費用が嵩んで途中解約を検討する、というのが一番もったいないパターンだと思います。年契約の初期費用が16,060円と単月より高く見えても、月額換算では年契約の方が安いので、続ける前提があるなら年間契約の方が合理的です。

バーチャルオフィス1公式サイトでは、拠点ごとの詳細な料金表とプラン内容が確認できます。

実務での使い方:住所確定が設立スケジュールの起点になる

ここは私の実体験に基づく話です。法人設立の実務では、住所が確定するまで以下がすべて止まります。

  • 定款の「本店の所在地」欄
  • 登記申請書
  • 法人印(会社実印)の登録に必要な印鑑届書

私の場合、定款の本店は「◯◯市」までの記載にとどめました。政令指定都市であれば区まで書く必要がなく、同じ市内での移転であれば定款変更なしで済むからです。登記簿の本店欄には、契約したバーチャルオフィスの正式な住所が入ります。

もうひとつ実務上効いてきたのが法人口座の話です。法人口座は登記完了後でないと開設できません(資本金の払込自体は個人口座で問題ありません)。新設法人はただでさえ口座審査が重めと言われていて、バーチャルオフィスを本店にしている場合はさらに見られるだろう、という前提で私はネット銀行を選び、2026年8月に口座を開設できました。審査に通る・通らないは個別の話なので断定はできませんが、「新設法人+バーチャルオフィス本店」という組み合わせは審査上ハードルが上がりやすい、という前提は持っておいた方が良いと思います。

もうひとつ、地味に実務で効くのが郵便の受け取り方です。転送なのか店舗受取なのか、通知がどう来るのか(バーチャルオフィス1の場合はLINE通知で、簡易書留などは代理サイン対応、本人限定郵便は不在票受け取りのうえ連絡、という仕組みが公式サイトに記載されています)。ここを事前に把握しておかないと、税務署や金融機関からの重要書類を取りこぼすリスクがあるので、契約前に運用ルールを確認しておくことをおすすめします。

デメリット・注意点を正直に

郵便受けを何度も確認してため息をつく人 郵便受けを何度も確認してため息をつく人

良い面ばかり書くと判断を誤らせるので、正直に注意点も並べておきます。

  • 事業の実態と本店所在地が離れることのリスク:東京や広島に事業の実態がない状態で本店だけをそこに置くと、法人口座の審査や取引先から見た整合性で不利に働くことがあります。私自身、事業の実態がある地域を優先してバーチャルオフィスを選んだのはこの理由からです。
  • 郵便は即日で手元に来ない:転送には日数がかかりますし、月4回までという回数の制限もあります。急ぎの書類が届く可能性がある事業には向きません。
  • 同じ住所を他社も使っている:バーチャルオフィスは性質上、複数の契約者が同じ住所を利用します。取引先によっては、この点をどう見るか事前に確認しておいた方が安心です。
  • 解約条件が公式ページで確認しきれていない:契約期間の縛りや、年契約を途中解約した場合の扱いについては、私が確認した範囲の公式情報には明記がありませんでした。ここは申込前に必ず公式に確認することをおすすめします。

裏を返せば、これらはすべて「事業の実態や運用ルールと照らし合わせて確認すべきチェック項目」でもあります。デメリットというより、契約前のチェックリストとして捉えるのが正しい向き合い方だと思います。

申込前に確認すべきことリスト

申込前チェックの流れをステップで整理 図2: 申込前チェックの流れをステップで整理

ここまでの内容を踏まえて、申込前に確認しておきたいことをリストにしておきます。

  • 契約しようとしているプランが法人登記に対応しているか(プラン名だけで判断せず、公式サイトで明記を確認)
  • 年間契約と単月契約、それぞれの総額(初期費用+月額×利用予定期間+転送費用)を比較したか
  • 契約期間の縛りと解約条件を公式に確認したか(未確認の場合は問い合わせフォームではなく、公式サイトのFAQや利用規約ページを確認)
  • 事業の実態がある地域と、本店にしようとしている住所がどれくらい離れているか
  • 郵便物の受け取り方(転送か来館受取か)と、通知の仕組みが自分の運用に合っているか
  • 今の名刺・特商法表記・SNSプロフィールなどで、どこまで住所を公開しているか(守りたい範囲の洗い出し)

これらを確認した上で「登記に対応したプランで、総額も許容範囲で、事業実態との距離も問題ない」と判断できたなら、そこで初めて申込を検討する段階です。

よくある質問

Q. バーチャルオフィスを契約すれば必ず法人登記できますか? いいえ。バーチャルオフィス各社にはプランが複数あり、住所利用のみで登記には使えないプランも存在します。私自身、以前契約していた別のバーチャルオフィスが登記に使えないプランだったため本店にできませんでした。契約前に「登記対応」と明記されたプランかを必ず確認してください。


Q. 「月額880円」で本当に足りますか? 月額880円はバーチャルオフィス1の年間契約時の価格です(単月契約は3,960円)。これに加えて、郵便物の転送費用(50g以下150円〜)が別途かかります。総額で見て判断することをおすすめします。


Q. 賃貸の自宅を本店にする場合、何か手続きが要りますか? 契約上、事業用途での使用について大家・管理会社の承諾確認が必要になることがあります。バーチャルオフィスに切り替えることで、このタスク自体が発生しなくなるというメリットがあります。ただし個別の賃貸契約の条件については、契約書と管理会社への確認が必要です。


Q. 本店を東京や広島に置くと、口座審査に不利になりますか? 「不利になる」と一律に断定はできませんが、事業の実態がある地域と本店所在地が離れていると、金融機関の審査や取引先から見た整合性の面で確認材料が増える可能性はあります。私自身は、事業実態のある地域を優先して住所を選びました。


Q. 解約したくなったらどうなりますか? 契約期間の縛りや年契約途中解約時の扱いについては、公式サイトで明記を確認できていません。申込前に、公式サイトの利用規約やFAQで解約条件を必ず確認してください。


Q. 郵便物はすぐ手元に届きますか? バーチャルオフィス1の基本プランには月4回までの郵便転送が含まれていますが、転送には日数がかかります。即日で受け取りたい重要書類がある場合は、店舗受取が可能な営業時間内に取りに行く運用や、オプションの活用も検討材料になります。

まとめ

事業用の住所は、自宅・賃貸オフィス・シェアオフィス・バーチャルオフィスという4つの選択肢のうち、自分が「何を守りたいか」から逆算して選ぶのが基本です。住所公開を避けたい、作業場所は自宅やコワーキングで十分、という条件が揃うなら、バーチャルオフィスは有力な選択肢になります。

ただし、契約すれば自動的に法人登記できるわけではなく、登記対応のプランかどうかはプラン単位で必ず確認する必要があります。私自身、これを確認せずに進めて本店にできなかった経験があるので、ここは強調しておきたいところです。加えて、料金は「月額880円」だけでなく、契約形態(年間か単月か)と郵送費用を含めた総額で見ること、事業の実態がある地域と本店の距離、解約条件が公式で確認できるかどうか——この記事で挙げたチェック項目を、申込前に一つずつ潰しておくことをおすすめします。

そのうえで「登記対応プランであること」「総額が許容範囲であること」「事業実態との距離が問題ないこと」の3つが揃ったなら、バーチャルオフィス1公式サイトで拠点ごとの詳細な料金・プラン内容を確認してみてください。事業用住所の選び方全体をもう一度整理したい方は、事業用の住所をどう用意するか|自宅・賃貸・シェアオフィス・バーチャルオフィスを条件で比べるもあわせてどうぞ。

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